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続・児童虐待

柳美里

長谷川 それは大人の柳さんの判断で、子どもの美里ちゃんは、そんなことを考えない。

ここが、最初に越えなくてはならない大きな壁になると思います。美里ちゃんの魂を、美里ちゃんだけの魂を、ガッ、ガッ、ガッと疵つけながら、殺してしまう寸前まで痛めつけた。美里ちゃんの魂をここまで痛めつけたのは、お母さんなんですよ。
ほんとうなら、学校でイジメられたり、隣の家のおじさんにイタズラされて帰ってきたりしたら、美里ちゃんを優しく抱っこして、「美里ちゃん、どうしたの?」って……「あのね、あのね……」って美里ちゃんがなかなか言えなかったら、「お母さん、どんなことがあっても美里ちゃんの味方だから、話してごらん?」って……それで、美里ちゃんが「こんなことされた。こんなこと言われた。すごく痛かった。すごく嫌だった。すごく苦しかった」とお母さんに打ち明けたら、「痛かったね、嫌だったね、苦しかったね」といっしょに泣いてくれて、「話してくれてありがとう。お母さんはね、美里ちゃんのこと大好きよ」と抱きしめてくれる、美里ちゃんのお母さんは、そんなお母さんであるべきだったんじゃないですか?

 でも、なかなか、みんな、こうあるべきだ、というものにはなれないですよね。

「母性」が何か解らない

長谷川 まぁ、そこまでやってあげられるお母さんというのは、現実的にはいないに等しいのかもしれないけれど、理想のお母さんというものがあるとしたら、その対極が、柳さんのお母さんなんじゃないですか? 子どもを育む親とは対極の、子どもを疵つける親、子どもの魂を奪う親です。
お母さんのことを、これだけ酷評されると、どんな気持ちになる? 堪えられる?

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コメント / トラックバック1件
  1. あがた より:

    柳美里さんの壮絶な人生に驚きを隠せません。しかし意味の無いものは何も無いと私は思っています。偶然は無くすべて必然だと。氏にとっては必要な出来事だったと思います。そして氏に耐える力があるからこその試練だと。神は耐えられない試練には会わせないというのは本当だと思っています。人は与えられた人生出来事を受け止めた時その方の使命が輝きでると信じるからです。現に氏の文章に由って多くの人が癒されているのではないでしょうか。長谷川先生のおっしゃるようにご自分を受け入れてくださいませ。私は専門化ではありません。ですがこれまで生きて来た中でこのことは間違いないということを身をもって知りました。例え世界中の人間があなたを見捨るようなことがあっても柳美里さんあなただけはあなたを抱きしめてください。受け入れてください。そのままのあなたを。どこまでもどこまでも受け入れてください。

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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