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続・児童虐待

柳美里

長谷川 柳さんの身近にいるのは、みなさん、心で泣いてるひと、ほんとうは声をあげて泣きたいひとなんですね。自分の思いの伝え方や、生き方が不器用なひとが集まっている。べつに柳さんが逃げないように支配してるようなわけではないから、お互いの弱さというか、疵の部分で惹かれ合っているんでしょうか。
東さんにしろ、今の彼にしろ、心の内に闇を抱えているようです。その闇というのは、言い換えれば、疵で張り巡らされた塀の中に蹲っているみたいな感じ。悲しみよりも、怒りが前面に出てね、最も親密なひととのあいだで怒り同士がせめぎ合ってしまう。ほんとうは愛情で結ばれたいのに、その愛情というものが解らないんですね。
今日最初のお話、夢の男が自分を導いてくれる老賢者だったことが意外だったというね、それを確認できたということは、もう少しアクティブに闇に踏み込んでもいいのかなと、うん。昨日はやんわりやんわり、自分の心を自分で探してもらうということからはじめましたが、老賢者の存在を柳さんが認められたことで、なんとかやっていけそうな気がしましたね。

ただ、昨日の話で、それが外在化されたのがカウンセラーだとして、その要素の一部を私が担っているのだとしたら、夢の話に戻りますが、その男性との距離が近過ぎるとおっしゃった。「もう、あと一歩か二歩下がってもらえれば、嫌じゃなかったかもしれない」とおっしゃいましたよね。私の接近の仕方というかね、出逢い方が急過ぎたという感じはしますか?

 いえ。心の準備ができていなかったのに、仕事の事情で無理矢理逢ってしまった、という印象はないです。出逢うべくして出逢ったという感じです。むしろ、もっと早く出逢うべきだったと。

長谷川 でも、その距離の詰められ方が、想像以上に急で疲れるというのはありませんか?

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コメント / トラックバック1件
  1. あがた より:

    柳美里さんの壮絶な人生に驚きを隠せません。しかし意味の無いものは何も無いと私は思っています。偶然は無くすべて必然だと。氏にとっては必要な出来事だったと思います。そして氏に耐える力があるからこその試練だと。神は耐えられない試練には会わせないというのは本当だと思っています。人は与えられた人生出来事を受け止めた時その方の使命が輝きでると信じるからです。現に氏の文章に由って多くの人が癒されているのではないでしょうか。長谷川先生のおっしゃるようにご自分を受け入れてくださいませ。私は専門化ではありません。ですがこれまで生きて来た中でこのことは間違いないということを身をもって知りました。例え世界中の人間があなたを見捨るようなことがあっても柳美里さんあなただけはあなたを抱きしめてください。受け入れてください。そのままのあなたを。どこまでもどこまでも受け入れてください。

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COURRiER Japon
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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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