美観地区の景観を損ねるなどとして倉敷市が昨年12月に購入した空き店舗(同市阿知)の撤去工事が8日、始まった。今月下旬をめどに更地にし、跡地は当面、多目的広場として活用する。
空き店舗はJR倉敷駅(同所)から南に延びる倉敷中央通り沿いに面し、美観地区の北西に位置。367平方メートルの土地に、延べ586平方メートルの木造2階で、築後50~80年とみられる。
撤去工事は倉敷市内の建設業者が請け負い、初日は建物の周りに足場を組み、通行人らに迷惑をかけないよう鉄板などで囲った。9日から本格的に解体する。
撤去後は南側と東側の土地境界に板塀(高さ1・8メートル)を設置。ベンチやフラワーポットを置き、3月10日ごろまでに多目的広場として整備する。
撤去費(板塀設置費など含む)は約830万円、広場整備費は約660万円。いずれも本年度予算の不用見込み額を充てる。
同店舗をめぐっては1998年、所有業者(2009年倒産)がテナントビル計画の建築確認を市に申請したが、市は「景観を損なう」などと認めず、景観論争に発展した経緯がある。老朽化に伴い、ガラス破片や看板が落下する危険性があるため、市は9500万円で購入した。