知的障害者が後見人に就任して横領、他
後見人が被後見人の預貯金を横領するニュースが,知人から届いた。年間200件に上る解任事例の一こまであろう。
●1200万円横領容疑 地検が逮捕/秋田
http://mainichi.jp/area/akita/news/20100206ddlk05040018000c.html
これは後見人はいとこ。その母親に代って後見人に就任して、自宅の購入費用にお金を使ったらしい。
●知的障害者の200万円着服容疑――奈良、実質的な成年後見人を逮捕/奈良
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news007510.html
こちらは記事からは確認できなが、どうも後見人は親族ではないようだ。
友人か勤め先の社長か?
横領事例は家族だけでなく弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職でもあるから、「だから家族や非専門家はだめだ」と即決することはできない。
また前にも書いたが、裁判所が監督業務の中で発見している事例なので、裁判所の監督がまったく機能していない、と判断することも早計だろう。もっとも監督能力はかなり限界を超えているとは思うが。。。
しかし次の例は、いささかびっくりする。
知的障害のある人が、成年後見人に就任し、やはり知的障害のある母親といっしょに親戚の交通事故保険金などを横領したという事件である。逮捕されたときから話題になっていたようだ。
広島地方裁判所 福山支部平成21年03月24日判決
業務上横領罪が成立し,犯行の一部につき知的障害による心神耗弱の状態にあったと認定して懲役1年10月の実刑
最高裁判所HP 判例検索 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37718&hanreiKbn=03
この判例は判例集などには搭載されていない。上記の裁判所WEBでみることができる。
刑事事件では、裁判所は家裁の選任の落ち度を認めなかったのであるが、この後に国賠訴訟が起きている。
http://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/hiroshima/1252421460-0.html
この国賠事件がどうなっているのかは、知らない。判決がでていないのだろう。
選任過程にせよ、監督業務にせよ、家裁まかせにしておいてはいけない、ということだろう。地域ぐるみで支援し、おかしいと思えばどんどん家裁に上申することが必要だ。家裁の担当者だって目の前の後見人候補者が療育手帳を所持してるかいないか、なんて調べられないと思う。
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