北朝鮮による拉致問題をテーマにした市民集会(救う会神奈川主催)が7日、神奈川県藤沢市で開かれ、安倍晋三元首相の政務秘書官を務めた井上義行氏(46)が講演で、安倍政権下の07年春に日朝間で拉致問題に関する水面下の交渉があったことを明らかにした。
井上氏は、07年4月ごろ北朝鮮側から「拉致問題で協議したい」と自身に打診があったと語った。日本側は外務省幹部をシンガポールに派遣し、北朝鮮側と接触。07年7月の参院選後に再協議することになったが、参院選で自民党が敗れ、立ち消えになったという。
井上氏は「向こうから『拉致で協議したい』と言ってきたからには、生存者は必ずいるはずだ。北朝鮮側は当時、安倍内閣の支持率を気にしていた印象があり、選挙で勝っていれば本格的な協議が始まった可能性もあった」と語った。
集会には横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父滋さん(77)も出席し「今年は何か動きがあるのではと期待している。世論の盛り上がりが最大の力となる」と訴えた。【曽田拓】
毎日新聞 2010年2月8日 10時25分