トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」のブレーキが瞬間的に利かなくなる問題で、同社が国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出ることが8日、明らかになった。今週前半にも発表する。同じようなブレーキシステムを採用するハイブリッド車の「SAI」と「レクサスHS250h」も、対応が整い次第、リコールする見通しだ。
対象は、昨年5月発売の3代目プリウス、約18万台。今年1月下旬以降の生産分は、すでに改修を施している。トヨタは、自主改修のサービスキャンペーンで対応する方針だったが、苦情が日ごとに増えて不安が高まっていることから、法的なリコールに踏み切る。
この問題は、滑りやすい路面を低速で走行中、1秒前後、ブレーキが利かなくなるというもの。改修では、車輪がロックしてハンドル操作が不能にならないようにするアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の電子制御プログラムを修正する。
トヨタは、すでに修正ソフトを全国の販売店に配布。今後、リコールの通知を顧客に発送する。修正は、30分程度で終わるという。
新型プリウスは約60カ国・地域で販売。米国では約10万台をリコールする方針を固めており、ほかの国々でも制度に従って無償で改修するとみられる。同じくリコールする見通しのSAIは、1月末までに国内で約7700台、レクサスHS250hは約1万台を販売している。
リコールは、道路運送車両法に定められた保安基準に適合しない重大な欠陥の場合の対応。3カ月ごとに国に改修状況を報告する義務が生じ、サービスキャンペーンより厳しい対応を求められる。
トヨタは当初、このブレーキの問題を、運転者の感覚的な問題として、不具合とは認めていなかった。しかし、顧客の不安が高まるなか、監督官庁の国交省が「世間の反応を見れば、リコールでなければ収まらない」(幹部)との見方を強め、サービスキャンペーンでの対応では難しいと判断した。