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暗中模索のウィルコム問題
最後のPHS事業者の末路

 その人物が、巨躯を折り曲げて、NTTに頭を下げた。だが、05年にNTTドコモが新規加入を打ち切ったPHS事業をNTTが引き取るという救済案なので、株主に対する説明がつかない三浦社長は言葉を濁した。しばしの沈黙の後で、三浦社長の脇に控えていた“懐刀”の鵜浦博夫副社長から、「そのようなお話は無理ですね」と断られる。小1時間のトップ会談は打ち切られ、憮然とした稲盛会長は手ぶらで京都へ帰された。

あくまでもADRだが更生法の申請は秒読み

 それから約1年後、経営再建中のウィルコムは、のっぴきならない事態に追い込まれている。

 09年9月以来、私的整理の一種である「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」に踏み切り、計30の取引金融機関と京セラに対する約900億円の債務について返済期限の延長などの協議を続けてきたが、「再生プラン」の策定が難航しているのだ。

 さらに、通常は約3ヵ月で決着に至るとされている事業再生ADRのプロセスで、年を越した膠着状態が続いていることから、その帰結として「法的整理である会社更生法の適用を申請し、企業再生支援機構の下で新たなスキームで再建を目指すのではないか?」という“観測”がほとんど既成事実になりつつあるのだ。

 ウィルコムにとっては、“倒産”のイメージが付いて回る法的整理ではなく、私的整理で再建への道筋を付けたい。だが、ウィルコムの債権者会議は、通常は計3回のところを、2回目を“続会”と称して都合2回(09年12月、2010年1月)に分けるなどの時間稼ぎをせざるをえず、最後の3回目の会議は来る2月の最終週に開かれる運びとなった。

 その時点まで、ウィルコムは、「あくまで、現在進行中の事業再生ADRに望みを託す」(社長室)というが、3回目の会議(事実上の4回目)で「再生プラン」がまとまらないと、金融機関は債権回収に乗り出す。結果的に、ウィルコムは、裁判所に頼らざるをえなくなる。だが、企業イメージの悪化を恐れて、申請日そのものを繰り上げる可能性もある。

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