ドアを開けると、そこには身元不明遺体が…。まるで映画やドラマのような“空港ミステリー”が起こった。
遺体が発見されたのは、米ニューヨーク発成田行のデルタ航空59便ボーイング777(乗客乗員193人)。
同機は、成田国際空港に定刻より約15分早い午後4時46分に通常着陸。午後6時5分ごろ、点検していた整備士が左の主脚格納部のドアを開けたところ、隔壁とダクトの間に遺体があるのを発見した。
成田国際空港署によると、遺体は黒人男性で成人とみられる。中肉中背で所持品はなく、長袖シャツにジーンズの軽装だった。遺体は中腰の姿勢で外傷はなかったが、皮膚に凍傷の跡があった。
機内から主脚格納部へのルートには厳重に封がしてあり通常立ち入りは不可能なため、出発前に機外からタイヤをよじ登って侵入した可能性が高いという。同署では、男性が何らかの理由でニューヨークで格納部に入り込んだものとみている。
航空関係者によると、主脚格納部は空調も与圧も効いていない。飛行機が巡航する高度1万メートル付近は地上よりも気温が50〜60度低く、外気温は氷点下40〜50度に達するため、凍死した可能性もあるとみられる。同署では、男性が密航を図ろうとした可能性もあるとみて、事件と事故との両面から調べを進める方針。
最近では2003年3月、香港発成田行きの便の車輪格納部から密入国を図ったとみられる男性の遺体が見つかったケースもあったが、珍しい事件には違いない。