女性専用ブースで化粧するギャル漫画家・浜田ブリトニーさん=東京都渋谷区宇田川町のネットカフェ「マンボー」、福岡亜純撮影
女性専用ブースで寝るギャル漫画家・浜田ブリトニーさん=東京都渋谷区宇田川町のネットカフェ「マンボー」、福岡亜純撮影
ほかの繁華街でも傾向は同じだ。名古屋市を中心に若者の失業問題などに取り組んでいる名古屋北部青年ユニオンの石田進さん(37)は「店への聞き取り調査で、市中心部のネットカフェで、女性の長期滞在者が増えているようだ。女性の失業者が中心とみられる」と話す。
ネットカフェの側も様々なサービスで女性客の呼び込みに力を入れ始めている。
「マンボー」は女性客の多い渋谷区内の2店に女性専用のブースとシャワールームを設けた。トイレとシャワールームは男性用より広い。渋谷宇田川町店にはプロのネイリストが常駐し、無料のネイルコーナーは連日キャンセル待ちの状態だ。
ネットカフェは70年代に登場したまんが喫茶が前身とされる。「不況に加えて、子どもの頃、マンガ喫茶に親しんだ世代が成人して、ネットカフェに抵抗のない人が増えたのでは」と浜田さんは見る。(藤方聡、伊藤景子)
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「無頼化する女たち」などの著作がある女性詩人で社会学者の水無田気流(みなした・きりう)さんの話 ネットカフェに長く滞在する女性の出現は、社会進出に伴って男性の場所とされていた繁華街にひとりで行くことに抵抗感が薄れた、つまり「無頼化」した女性が増えたことが背景にある。
日本の女性は非正規の仕事にしかつけない場合が多く、平均賃金も低いが、これまでは親や夫に庇護(ひご)されて貧困は見えにくかった。だが、最近の大不況で「庇護者」自体が困窮し、職や住まいを失う女性も現れて女性の貧困もようやく表に出るようになってきた。私も大学の非常勤講師といった不安定な仕事をしている。ひとごととは思えない。