【政治家と金と事件史】
〜平成元年から22年までの政治家事件と判決結果〜(2/7日update)
●100パーセント有罪の心証
自民党から民主党へと政権交代後、初の政治家事件・陸山会事件の捜査は終わった。政界最高実力者、小沢一郎氏は不起訴となった。起訴しても100パーセント有罪にする自信が検察側になかったからだ。
「100%有罪になる心証が持てなければ政治家事件は起訴しない」が検察の伝統といえる。私の取材メモに基づいて平成の政治家事件と判決結果を振り返る。いうまでもないが、無罪確定例はない。
★リクルート事件(平成元年)
藤波 孝生(内閣官房長官)在宅起訴、受託収賄罪,贈賄者江副浩正、1審無罪,2審で懲役3年,執行猶予4年 追徴金4270万円、最高裁で確定。
池田 克也(公明党所属・衆院議員)在宅起訴、受託収賄罪,贈賄者江副浩正、懲役3年、執行猶予4年、追徴金1835万円
★国際航業株事件(平成2年)
稲村利幸(元環境庁長官)在宅起訴、所得税法違反,脱税と言う租税犯罪だ。判決結果は懲役3年,罰金3億円,最高裁で確定、服役済。
★共和汚職事件(平成3年)
阿部文男(元・北海道・沖縄開発庁長官)受託収賄罪,贈賄者森口五郎、懲役3年,追徴金9000万円,最高裁で確定したが、病気のため刑の執行停止,死亡。
★東京佐川急便5億円闇献金事件(平成4年)
金丸 信(前自民党副総裁)1992年8月、5億円の闇献金発覚、副総裁辞任。10月議員辞職、政治資金規正法違反,5億円提供者、渡辺広康、東京区検略式起訴、東京簡裁罰金20万円(5億円の闇献金)確定。
★巨額脱税事件(平成5年)
金丸 信(前自民党副総裁),所得税法違反で起訴されたが、1審審理中死亡,公訴棄却
★ゼネコン汚職事件(平成6年)
中村喜四郎(元建設相),衆院逮捕許諾、斡旋収賄罪,贈賄者清山信二、懲役1年6月,追徴金1000万円,服役済。
★所得税不正還付事件(同)
近藤 豊(衆院議員)在宅起訴、1審懲役1年6月の実刑判決だったが,2審で懲役1年6月,執行猶予3年,罰金500万円 確定
大谷 忠雄(衆院議員)在宅起訴、1審懲役2年6月,執行猶予5年,罰金1000万円,控訴棄却,確定
★2信組事件(平成7年)
山口敏夫(元労相),衆院逮捕許諾、高橋治則らを調べていた東京地検特捜部に背任容疑で逮捕され、背任、業務上横領、詐欺、衆議院予算委員会での証人喚問に於ける議院証言法違反などの罪で起訴され、1審懲役4年,2審懲役3年6月,06年12月4日,上告棄却。服役済み。
★オレンジ共済事件(平成9年)
友部達夫(参院議員)友部は自ら設立し理事長を務めていたオレンジ共済組合が出資法違反容疑で捜索を受け、12月に同組合が倒産(オレンジ共済組合事件)。同共済組合は、「オレンジスーパー定期」という年6〜7%もの配当を謳った商品を出し、約90億円もの資金を集めたが、出資者から集めた金が選挙費用や政界工作費、借金返済など私的に流用したことも明らかになった。詐欺師が国会議員になった事件だ。逮捕許諾、詐欺罪,2001年5月に懲役10年の実刑が最高裁で確定。服役中。
★日興証券利益供与事件(平成10年)
新井将敬(衆院議員)証券取引法違反(利益要求)容疑で逮捕許諾請求,院では許諾されたが,逮捕される直前にホテルで自殺。政治家でありながら時代が変わったことが読めなかったための悲劇だ。
★救難飛行艇開発に絡む汚職事件等(平成10年)
中島洋次郎(衆院議員、防衛政務次官)、東京地検特捜部に政党助成法違反容疑で逮捕され、公職選挙法違反で再逮捕。海上自衛隊の救難飛行艇開発問題に絡む受託収賄容疑で3回目の逮捕。受託収賄罪などで起訴。贈賄者富士重工会長、河合勇。受託収賄罪のほか4件で起訴された。
【公選法違反】96年10月の衆院選をめぐり、後援会幹部らに買収資金などとして現金計約2000万円を渡した。
【政党助成法違反】自民党群馬県第3選挙区支部に党本部から96年と97年に交付された政党交付金(助成金)計2000万円の一部を流用したことを隠すため、虚偽の報告書を県選挙管理委員会などに提出した。
【政治資金規正法違反】助成金流用に絡み、政治団体の支出の一部を党支部に付け替えたのを隠すため、資金管理団体の収支報告書に虚偽の記載をした。
【詐欺】会社役員を政策秘書に採用したように装い、96年から98年にかけ国から支給された給与計約1030万円をだまし取った。
中島は99年1月罪状を認めた後、議員辞職。7月には東京地裁で懲役2年6ヶ月、追徴金1000万円の実刑判決を受けた。
その後ショックで精神不安定となり、カウンセリングや投薬治療を受けたものの「抜け殻」状態であったという。00年9月には東京高裁でも実刑判決を受け、10月には上告したが、最終結審前の01年1月6日都内の自宅で自殺した。
★建設省汚職事件(平成12年)
中尾栄一(元建設大臣)、建設省発注の公共工事の指名競争入札に絡んだ受託集収賄事件、贈賄者、若築建設のオーナー、石橋浩。イトマン事件の許永中、政界のフィクサー・福本邦雄氏も介在。1審で懲役2年、控訴審で1年10月に減刑。上告したが、04年9月、上告棄却、有罪が確定した。病気のため刑の執行停止。自宅で療養している。
★秘書給与詐欺事件(平成12年)
山本譲司(衆院議員)、政策秘書を実際には採用していないのに、採用したかのように装って衆院事務局に虚偽の報告を行い、秘書給与2360万円を詐取した。逮捕・起訴、1審懲役1年6月の判決、確定、服役。
★KSD事件(平成13年)
小山孝雄(参院議員・労働政務次官)疑惑が表面化すると、議員辞職。受託収賄容疑で逮捕、起訴事実「KSD前理事長古関忠男被告(80)=背任罪などで公判中=から95年11月と96年3月、外国人研修生の滞在期間延長などKSDの事業に有利な質問を参院労働委員会でするよう依頼され、報酬として96年10月、現金2000万円を受領。労働政務次官在任中の98年8月−99年3月の間、古関被告から「ものつくり大学」への国の補助金増額を旧大蔵省に予算要求するよう頼まれ、見返りに99年4月から00年9月にかけて、秘書給与約1160万円の肩代わりを受けた。1審で懲役1年10月、追徴金3130万円の判決、確定。服役。
村上正邦(参院議員)疑惑が表面化すると、議員辞職、受託収賄容疑で逮捕、起訴事実「村上、中野両被告は96年1月上旬、KSDの前理事長古関忠男被告(80)から「ものつくり大学」設置を支援する代表質問を参院本会議でするよう依頼され、同年6月から98年7月にかけて、謝礼として村上被告が実質的に賃借する事務所二室の家賃計約二千二百八十万円の肩代わりを受けた。さらに村上被告は96年10月、議員会館で古関被告から報酬として現金5000万円を受け取った。
03年5月20日、1審判決、結果は懲役2年2月、追徴金7288万円、控訴、上告棄却、1審判決通り確定、服役済み。
★やまりん事件(平成14年)
鈴木宗男(衆院議員)衆院逮捕許諾、斡旋収賄容疑で逮捕、受託収賄で再逮捕、起訴事実は次の通り。
【あっせん収賄】内閣官房副長官だった1998年8月4日、製材会社「やまりん」(北海道帯広市)側から、入札参加資格の停止処分終了後に処分中の損失を取り戻すため林野庁に働き掛けるよう不正の請託を受け、首相官邸で500万円のわいろを受領。
【受託収賄】北海道開発庁長官就任後の97年10月から98年8月にかけ、「島田建設」(北海道網走市)側から北海道開発局の工事受注に便宜を図るよう請託を受け、4回にわたり計600万円のわいろを受領。
【政治資金規正法違反】東京・南青山の自宅購入費などに充てた3600万円の支出や約1億円の寄付収入を資金管理団体「21世紀政策研究会」の98年分収支報告書から除外し、虚偽を記載。
【議院証言法違反】3月の衆院予算委員会の証人喚問で、島田建設からの600万円のわいろや200万円のヤミ献金受領の事実を隠すなど3点で偽証。
04年11月6日、東京地裁は、鈴木に懲役2年、追徴金1100万円の判決、控訴したが、2月25日控訴棄却の判決。現在上告中。
★政資正法違反,秘書給与詐欺事件(15年)
坂井隆憲(衆院議員)衆院の逮捕許諾後、逮捕された。起訴事実の要旨は
【政治資金規正法違反】坂井被告は塩野谷被告と共謀。人材派遣業「日本マンパワー」など複数の後援企業から受けた献金を含む約3億8800万円の収入のうち、計約1億6800万円を除外し、資金管理団体の97−01年分の収支報告書に虚偽記載をした。
【詐欺】坂井被告らは共謀して、公認会計士の男性を政策秘書として採用したとする文書を96年7月、衆院事務局に提出して登録。勤務実態がないのに96年7月−99年11月にかけて秘書給与名目で国から計約2400万円をだまし取った。
2004年12月24日、東京地裁で坂井への2年8ヶ月の実刑判決が言い渡され、控訴したが、取り下げ刑が確定。服役をすませた。
★秘書給与詐欺事件(15年)
辻元清美(衆院議員)秘書給与詐欺容疑で逮捕、起訴状などによると、「辻元容疑者らは初当選後の96年11月−97年3月と97年4月−98年12月に、佐々木容疑者ら2人の名義を借りて政策秘書として登録。国から2人分の秘書給与計約1900万円をだまし取ったとされる。辻元氏は利息を含め23,317,972円を自主返還している。
2004年2月12日、東京地裁判決、懲役2年執行猶予5年。26日同判決確定。
★日歯連事件(16年)
吉田幸弘(前衆院議員)日本歯科医師連盟の政治資金流用事件に絡み、2004年7月28日に公職選挙法違反と業務上横領容疑で逮捕。起訴状によると、吉田被告は臼田前会長、日歯連の内田裕丈(うちだ・ひろたけ)元常任理事(64)=有罪確定=と共謀し、日歯会長選工作資金に充てるため01年8月、日歯連から3000万円を自分の資金管理団体に寄付名目で受け取って横領した。
また03年の衆院選で内田元理事らと共謀、愛知県の自民党県議ら5人(いずれも有罪確定)にそれぞれ200万円の小切手を渡した。判決は2005年7月20日、東京地裁で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が出た。確定。
村岡兼造(前衆院議員、旧平成会会長代理)、04年9月27日、橋本龍太郎会長が日歯連会長から受け取った1億円について政治資金規正法違反(不記載)で先に起訴された滝川俊行・会計責任者(事務局長)の共犯として在宅起訴された。
06年3月30日、求刑禁固10月に対し、1審東京地裁は無罪判決、検察側控訴、07年5月10日、控訴審・東京高裁は、第1審の無罪判決を破棄し、禁固10か月・執行猶予3年の逆転有罪判決を言い渡した。村岡は上告した。08年7月14日、最高裁は、控訴審の有罪判決を支持し、決定によって、村岡の上告を棄却した。
★秘書給与詐欺事件(16年)
佐藤観樹(衆院議員)、愛知県警に妻らとともに逮捕された。起訴状によると、佐藤被告は00年7月から03年4月まで、勤務実態のない側近の妻(51)を公設第二秘書として登録。43回にわたり1700万円の給与をだまし取った。詐取した金のうち約900万円は事務所の経費として使われ、約800万円は妻名義の口座に残されていた。
民主党を除籍になり議員も辞職。04年9月9日の名古屋地裁は懲役1年4月の実刑判決を言い渡し、05年1月28日、名古屋高裁も1審判決を支持し、控訴を棄却した。双方が上告しなかったところから、懲役1年4月が確定。服役済み。
★弁護士名義貸し事件(17年)
西村真悟(衆院議員)05年11月28日、名義を貸した弁護士法違反(非弁護士との提携)容疑で逮捕。12月18日に同法違反の罪で起訴されるとともに、組織犯罪処罰法違反容疑で再逮捕、28日に同法違反の罪で追起訴した。
07年9月27日− 大阪地裁に於いて、弁護士法違反として懲役2年、執行猶予5年(求刑懲役2年、罰金100万円、追徴金約8300万円)の有罪判決。組織犯罪処罰法に関しては
「法解釈上、適用されない」と判断、無罪とした。判決。確定した。
★緑資源機構談合事件(19年)
松岡利勝農水相(衆院議員)は07年5月28日午後0時20分ごろ、東京都港区赤坂の議員宿舎で、首つり自殺を図った。
東京地検特捜部は07年5月24日、農林水産省所管の独立行政法人、緑資源機構の官製談合事件で、林道調査の入札で談合した疑いが強まったとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で同機構の森林担当理事、高木宗男容疑者(59)や受注側担当者ら6人を逮捕した。
「特定中山間保全整備事業」で新たな官製談合疑惑が浮上した熊本県の阿蘇小国郷区域は、松岡前農水相のおひざ元。総額約150億円のビッグプロジェクトをめぐり特捜部は25日、事業を担当する機構の九州整備局(福岡市)などを捜索した。熊本県小国町にある阿蘇小国郷建設事業所にも午前10時ごろ、東京地検特捜部の係官数人が2台の乗用車で到着。ブラインドを閉め切っての捜索は夜まで続き、午後8時すぎ、押収資料を入れた段ボール箱約50個を運び出し、トラックに積んだ。
憲法75条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
松岡大臣は立件されたわけではないが、現職大臣として板挟みとなり、死を選んだと私は推測しているので取り上げた。
★陸山会事件(22年)
石川知裕(衆院議員・元小沢一郎私設秘書)2010年1月15日、政治資金規正法違反で小沢の公設第1秘書や元私設秘書らと共に逮捕され、2月4日起訴される予定。
起訴状によれば、
公設第1秘書の大久保隆規被告(48)は小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の会計責任者だった。元私設秘書で衆院議員の石川知裕被告(36)と元私設秘書の池田光智被告(32)は大久保被告を補佐していた。
石川被告は大久保被告と共謀し、2004年分の政治資金収支報告書の収入欄に、小沢氏からの借入金4億円と関連政治団体からの寄付計1億4500万円を記載せず、支出欄に土地取得費約3億5200万円を記載しなかった。
池田被告と大久保被告は共謀し、05年分報告書の収入欄に、関連政治団体から計3億円の架空寄付を記入し、支出欄に約3億5200万円を過大に記載した。
また、07年分の収入欄に、関連政治団体からの寄付計1億5千万円を記入しない一方で、架空寄付計7千万円を記載し、支出欄に小沢氏への返済金4億円を記載しなかった。
虚偽記載額は07年分の寄付の不記載と架空寄付の記載を差し引くため、約20億2900万円。