知事の発言を分析した松田教授は「就任後しばらくは国政の政治家や政党名にさほど言及しなかったが、昨夏の衆院選前にはかなり目立つようになった。国や政界に働きかける政治家になっていったことがうかがえる」と話す。
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一方、記者会見以外も含めると、話題になった「ぼったくりバー」や「クソ教育委員会」など、知事の刺激的な表現は最近も止まらない。
4日の大阪府豊能町議会との意見交換会では、大阪(伊丹)空港問題で危機感を持つべきだとして「僕が虫の中で一番尊敬しているのはゴキブリです。新聞紙を丸めたら後ろに目もないのにぱっと逃げる。危機感がすごい」。3日の会見では、就任2年の自己採点を尋ねられて「採点を僕が言うのは、ケツを出すほど恥ずかしい」と言った。
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「僕」が増え、「私」は消滅寸前――。橋下知事が会見で自分のことをどう呼んできたか松田教授が調べたところ、こんな結果だった。
1年目は「僕」が2255回(88.4%)、「私」が295回(11.6%)。2年目は「僕」が3474回(99.3%)に増え、「私」は24回(0.7%)に激減した。
「私」は会見の冒頭、府職員作成の文書を見ながら述べる場合がほとんど。記者との質疑応答では「僕」に切り替わる。知事周辺によると、弁護士時代も法律相談や法廷では「私」だが、普段は一貫して「僕」だったという。
知事は「最初は『私』だったが、なんか合わないのでやめた。普通に『僕』の方がいいと思った」と話す。
関西学院大の野田正彰教授(比較文化精神医学)によると、「私」は立場の違う相手に社会性を持って接する意思表示だが、「僕」は自分を受け入れ、評価してほしいと甘える言葉でもある。「知事は『私』を使おうとしても『僕』に戻ってしまう。いつも自分を評価してほしい思いの表れではないか」とみる。(春日芳晃)