元横綱朝青龍の引退から一夜明けた5日、日本相撲協会の新理事となった貴乃花親方(37)=元横綱=が“ノーモア朝青龍”を誓った。4日に新弟子を指導、教育する相撲教習所長に就任。この日、東京・両国国技館内で初仕事を行い、「ダーティーなイメージの相撲界ではなく、ハッピーな相撲界にしたい」と所信表明した。若き熱血教官が、角界再生に燃えている。
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貴乃花所長の目は、熱意に満ちていた。早朝から相撲教習所に出勤。新弟子の授業に立ち会い、「学校でも何でもそうですが、最初の教育機関が大事。こんな立場を与えていただいて感謝しています。やる気満々です」と、笑顔で意気込みを口にした。
『貴乃花教室』の命題は“ノーモア朝青龍”だ。一般人への暴行問題を引き起こした朝青龍が、その責任を取る形で現役を引退。前代未聞の事態に「(相撲界の)内外で賛否両論あったと思う。協会も本人も決断の時を迫られた。危機的な状況にあった」と話し、「ダーティーなイメージの相撲界ではなく、ハッピーな相撲界にしたい」と訴えた。
さらに「地位になる前よりも、なってからの方が日常の鍛錬や礼儀作法は大変になる。若いうちに教習所で伝えていきたい」と語り、「ただ強くなるのではなく、強じんな精神と肉体を持った力士を育てていきたい」ときっぱり。朝青龍を反面教師にして、若手力士の育成に力を注いでいく。
相撲教習所は新弟子たちが半年間にわたり、実技はもちろん相撲史や習字など教養を学ぶ場。「両足を地面に着け、背筋を伸ばして先生の話を聞く。最初は何を言っているか分からなくても、姿勢を正していれば、いつの日か分かる時が来る」と、徹底的に礼儀作法の大切さをたたき込むつもりだ。
今後は所長自らが講義を開く予定も立てている。「なるべくそばで見守りたい。相撲界に入門したわけだから、相撲道の素晴らしさを伝えていきたい」。37歳の最年少理事が、力強く角界再生への第一歩を踏み出した。