昨年12月4日、政府の規制改革会議がさまざまな分野における規制改革の課題をとりまとめて公表しました。今後の対応は行政刷新会議の下に新たに設置される規制改革ワーキンググループと分科会で進められます。
諸外国に比べ、日本の財政状況が著しく劣悪であり、潜在成長率も極端に低いという現実は、日本の法律や産業政策に何か問題がある蓋然性が高いことを示しています。当然、不合理な規制も存在しており、日本の成長戦略にとって規制改革は重要な鍵と言えます。
規制改革への取り組みは、バブル崩壊後の日本経済の迷走が顕著になり始めた1995年に設立された総理府行政改革委員会(当時)に端を発し、以来5次にわたって8010項目の規制改革事項が指摘されました。
もっとも、霞が関内の省庁間調整では大きな利害対立を内包する規制改革は困難であり、今後は政治主導の対応が不可欠です。
また、規制の洗い出しの仕方にも問題があります。例えば、独立行政法人や公益法人に法律などで行政事務を委任している場合、当該法人がさまざまな規制を行っていても規制の数は「1」とカウントされているようです。これでは実態がよく分かりません。
いずれにしても、既得権益や省益のための規制は「百害あって一利なし」。天下り先の独立行政法人や公益法人の存在意義を保持するための規制はもちろん論外です。
景気対策に充当できる財源余力がない中で、規制改革は「財源を使わない景気対策」と言えます。どのような規制改革を行えば産業や企業活動が活性化するかは、各省庁や利害関係者自身が一番良く分かっているはずです。それを断行しない限り、日本経済が停滞を脱することは困難でしょう。
独占禁止法の適用除外措置の見直しも同様です。現在でも15の法律で21の制度が適用除外措置を受けていますが、これは「規制の例外」という名の「逆規制」と言えます。
適用除外措置の多くは、昭和20年代から30年代にかけて、産業の育成、国際競争力強化などの目的でさまざまな産業分野で創設され、時代とともにそれ自身が既得権益化している面があります。
独占禁止法も含め、規制全体をゼロベースで見直すことが急務です。(民主党参議院議員・大塚耕平)