内服薬:バラバラ処方せん標準化へ 誤読の危険回避

2010年2月6日 15時0分 更新:2月6日 20時36分

 「○○○(薬剤名)60mg 3×」の指示を見て60mgを1日3回投与したら「20mgを3回に分けて投与」の意味だった--。こんな内服薬の処方せんの紛らわしい表記によるミスを減らそうと、厚生労働省が初めて記載方法の標準化に乗り出した。用法や分量の書き方は「驚くほど多彩」(医療安全推進室)なのが実情。さまざまな薬の登場で誤読の危険も高まっているため、表記の「基本形」を公表し、1月末に自治体や医療団体に普及を呼び掛けた。【清水健二】

 処方せんは旧厚生省課長通知などで記載事項が決まっているが、書式や表現は、医師や職場によってバラバラだ。厚労省研究班が06年、約300医療機関に対して行った調査では、同じ内容の指示に▽分量で8種類(2錠=4mg、2T、※など)▽回数で35種類(1日3回毎食後=分3、/3×など)▽日数で25種類(14日分=(14)、14TDなど)の書き方があった。

 また、粉薬の場合は、製剤ではなく原料となる化合物の量に換算した記載を習慣にしている医師もおり、誤読すると数倍~数十倍もの分量が処方される危険もあるという。

 一方、近年は医療の進歩や生活パターンの多様化に合わせ、薬の飲み方が複雑になっている。同じ効能の薬でも服用回数が違ったり、「初日の朝2錠、夕1錠、翌朝に1錠服用し、その後5日間は休む」といった複雑で覚えにくいリウマチ薬もある。医療機関と薬局が別々の院外処方率も約6割に上り、指示内容の分かりやすさが求められている。

 そこで厚労省は昨春から専門家間で議論し、今年1月に表記方法のあり方をまとめた。薬剤名に続き「1g、1日3回朝昼夕食後、7日」といった具合に、記号や略称より明確な日本語を使い、分量は「1回分の製剤の重量」、服用日数は「実際の投与日数」を書くのを基本形として提示。電子化した処方せんで、システム上、1回量と1日量が混在している場合は、当面の併記を求めた。

 表記の統一を急ぐと、現場が混乱して事故につながる恐れもあるため、厚労省は期限は設けず自主的な改善を待つ構え。医療安全推進室は「1~2年後に中間評価をして、さらに分かりやすい記載方法を探りたい」としている。

 ※2のローマ数字

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