【イカルウィット(カナダ北部)=北沢卓也、尾形聡彦】5日始まった主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では各国の財政状況も論議された。菅直人財務相は、日本の国債発行残高の多さを「金メダルの水準」と紹介しつつ、2010年度予算成立後、直ちに財政再建に取り組む方針を「公約」した。
「我が国の国債残高は、オリンピックであれば金メダルが間違いなくもらえる水準だ」――。5日夜(日本時間6日午前)の食事会で、菅直人氏は自嘲(じちょう)気味に財政の厳しさを語った。
食事会では欧州の閣僚が口々に、財政再建に苦しむギリシャへの懸念を語ったという。菅氏が「『ギリシャ』という名前が議論されたが、それがジャパンという名前でなくてよかった」ときわどい冗談を飛ばすと、出席者から笑い声が上がったという。
ただ、金融危機後の経済の落ち込みを支えるため、大規模な景気刺激策を相次いで実施してきたG7各国の財政事情は、笑えないほど悪い。
国際通貨基金(IMF)の試算では、09年の各国の財政赤字幅は、対国内総生産(GDP)比で日本は10.5%、米国で12.5%、英国で11.6%に達する。欧米が、もともと財政赤字幅を3%以内に抑える目標を掲げているのと比べ、極端に悪い数字だ。
毎年の財政赤字の積み重ねである借金残高に至っては、対GDP比で、米国は09年末に84.8%に上るのに対し、日本は218.6%に達するダントツの悪さだ。菅氏は「来年度予算の審議を終えたあたりで(中期的な財政再建を)本格議論する」と各国に約束せざるを得なかった。
主要国が財政出動による景気下支えと、財政立て直しの両立に苦しむなか、世界経済の牽引(けんいん)車となっているのが中国経済だ。だが、G7ではその先行きへの不安感も出た。