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【社会】

サクラまん延?『女性の6、7割』 『出会い系』詐欺事件で警告

2010年2月6日 夕刊

 「出会い系サイト」をうたいながら、入会しても雇われた「サクラ」としか連絡できない仕組みをつくったサイト運営会社「LINX」(東京都新宿区)などによる詐欺事件。出会い系サイトのサクラの存在は以前から指摘されており、ハイテク犯罪に詳しい専門家は「オンライン上は危険がいっぱい」と警告する。(伊東浩一)

 昨年二月、警視庁はLINX社を家宅捜索した。約六百平方メートルのフロアにパソコン約二百台が並び、若い男女四十〜五十人が操作していた。サクラとして時給千円で雇われたアルバイトだった。

 都消費生活総合センターによると、昨年四〜十月、出会い系サイトに関する苦情が毎月百五十件前後寄せられた。その多くが「成り済まし会員がいる」などサクラを疑う内容だったという。

 「出会い系の女性の六〜七割はサクラと考えるのが普通」と風俗評論家の下川耿史(こうし)さんは推測。都内の元風俗店経営の男性(45)は「男女比の均衡をとるためもある。素人よりも言葉巧みなサクラにやりとりさせ、客をつなぎ留める狙いもあるはず」と説明する。

 出会い系サイトは、主にネット掲示板に男女が自己紹介を書き込み、気に入った異性にメールを送って交流する。メールを送受信するたびに課金される。

 二〇〇〇年ごろから盛んになり、児童買春に悪用されるケースが相次ぐなど社会問題化。〇八年十二月施行の改正出会い系サイト規制法では、業者の届け出義務などを定めた。都内の業者は約五百六十社が登録している。

 警視庁によると、出会い系サイトのサクラ行為を詐欺容疑で摘発したのは全国初。捜査員は「サクラが1%でもいれば、立件対象になる。だが現実は突き止めるのが困難」と明かす。

 LINXなどは〇五年に稼働し、〇八年一月からは、サクラ以外とは連絡できない仕組みにしていた。

 約十万円の被害に遭った都内の十代の男性は「女性が同じ会員制交流サイト(SNS)の会員を名乗るので信用してしまった」と悔やむ。コンピューターセキュリティー会社社長の鵜飼裕司さんは「SNSの信頼性を突いた犯罪。オンライン上は危険がいっぱいだと啓発が必要だ」と指摘する。

 

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