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青春グラフィティ

「可愛い花」から「あでやかな花へ」〜リリーズ(4)

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20年の空白を経て、再び歌手の道

 
輝きを増して「あでやかな花」に(2009年)

 「とにかく一歩、踏み出してみよう」。20年の空白期を経て、奈緒美、真由美の姉妹は2005年の暮れ、再び歌手の道を歩み始める。

 翌年から月に1、2回のライブ活動。渡辺プロを離れて独立したころは、アイドル時代にはできなかったことへの挑戦、という意味で外国曲へのこだわりがあった。しかし、紆余曲折の末の活動再開は、姉妹をさらに自由で、のびのびとした大人のデュオにした。

 デビュー当初、何かと比較されたザ・ピーナッツの曲も、レパートリーに入れるようになった。

 「やはり皆さんが知っている曲がいいかなと思い、『恋のバカンス』とか『恋のフーガ』とか。あと、私たち的には『可愛い花』が好きですね」

 アイドル時代の曲を歌うことにも、抵抗はない。「デビューしたころのアルバムの中には、フォークっぽい雰囲気の作品など、今歌ってもおかしくない、いい曲があるんです。渡辺プロの方って、いろいろ考えて作ってくれたんだなぁと、改めて思います」

 ――それでは、代表曲の『好きよキャプテン』は?

 すぐに「歌います」という答えが返ってきた。

 「どうしても、あの曲を聴きたいという方がいらっしゃるので。確かに、絶対に歌いたくない、という時期もありました。テレビ局から、昔のアイドルとして出てほしいという出演依頼も結構あったけれど、片っ端から断っていました。でも今は、そういう気持ちもなくなりました。やりたいことを少しずつやり始めて、過去のリリーズへの感謝の思いもすごく出てきた。皆さんが喜んでくださる曲を歌っていこうと」
 

ふるさと夕張の夏祭りで『好きよキャプテン』

 
夕張の夏祭りに参加し、やぐらの上で熱唱した(2006年)

 本格的に活動を再開した2006年の春、2人は、ふるさと・夕張の財政が破綻したことを耳にした。地元の友達からは「皆、元気がないので、応援に来てくれないか」という電話をもらった。「私たちを育ててくれた土地に、何とか恩返しをしたい」。2人は、その年の夏祭りに参加、やぐらの上で『好きよキャプテン』を歌った。

 「夕張という土地には、炭鉱以外にも、(映画監督の)山田洋次さんら物を創る人たちを引きつける何かがあると思うのです。私たち自身、帰省すると、自然に詞やメロディーが浮かんでくる。そうした町そのものの底力で、夕張は必ず再生すると信じています」

 現在、2人が考えているのは、自分たちで夕張の写真集を刊行すること。「夕張と言うと、石炭を中心に白黒のイメージが強いようなんです。でも、私たちにとっては、色彩豊かで光あふれる箱庭のような世界。それを伝えたい」と語る。

 「カメラ好きの父親の影響からか、2人とも写真にはちょっと興味があるのです」と笑顔を見せた後、双子の姉妹はこう結んだ。

 「音楽をあきらめきれずにこうして活動を続けているのは、自分たちの表現したいことが、まだまだあると感じているから。そんな私たちと、再生の可能性を探る夕張とは、どこか似ているような気がします」

 夕張に咲いた「可愛い花」は、今、「あでやかな花」として輝きを増している。  (おわり)

(中央公論新社 増沢一彦)

リリーズ プロフィル

1975年、14歳の時に『水色のときめき』でデビュー。2作目の『好きよキャプテン』が大ヒットし、双子アイドルとして人気を集める。テレビの『ズバリ!当てましょう』や時代劇『銭形平次』にもレギュラー出演した。20歳の時に所属していた渡辺プロダクションから独立。その後、歌手活動を中断していた時期もあったが、2006年に本格的に活動再開。今月19日に、品川・ホテルパシフィック東京の30階スカイラウンジに出演。30日には、大久保のBUMPCITYでミニライブを行う。

2009年05月13日  読売新聞)
この記事へのコメント
  • S35生・清水沢中学校卒業者
    2009年05月13日 09:19

    石炭の歴史村では、蒸し風呂のような暑い会場で、里帰りの第一声。
    盆踊り会場では、確か可愛い後輩と母校の校歌を合唱されていましたね。
    ジャンルは違うけど、大橋純子さんとのジョイントコンサートを夕張で開催できれば夕張出身者は大喜びです。
    今後もご活躍を!

  • オバQは永久に不滅です
    2009年05月13日 23:23

    当時の正式名は「ザ・リリーズ」。青森から上京して無味乾燥な東京生活で、私にとっては唯一の清涼剤だったリリーズの歌。西銀座7丁目のコリドー街の地下にあった渡辺プロ経営の「メイツ」で、月1回ほど開かれていたリリーズのショーを何度も見に行きました。前方に陣取るファンクラブの連中と一緒に、ドリンク一杯だけ注文し(皆、金が無かった?)、一晩に3回行われるステージを最後まで見ていたことが思い出されます。司会の吉村明宏氏(和田アキ子の物まねで有名)が、「リリーズは夕張出身ですよ!前張りじゃありませんよ!」とジョークを飛ばし、リリーズも笑っていたシーンが印象に残っています。今でもかけがえの無い貴重な思い出です。これからも頑張って欲しい!

  • ノブノブ。
    2009年05月15日 12:57

    昨年5月、私にとりまして再開後初めて、ステージでのお二人の歌声を耳にしました。
    【アイドル時代よりも格段に歌唱力が上がっている!】

    失礼な言い方になるかも知れませんが、
    声の伸び、ハモリの完璧さに感激をしてしまいました。
    かなり、歌い込まれているんだ…とも感じました。

    もう終了をしてしまうのは、大変残念なのですが、
    このコラムにて、
    お二人の【お考え】の一端や私の知らなかった【活動】など、知る事が出来ました。

    ありがとうございました。

    また、たまに立ち寄らせて頂きます。

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