医師不足が深刻化する中、病院存続を求める地域住民の苦悩や運動を描いた能代ミュージカル「能代さ医者来い物語」(NPO能代市芸術文化協会・制作委主催)が28日、能代市追分町の市文化会館大ホールで上演される。主催者側は「深刻な医療問題について考えるきっかけになってくれれば」とPRしている。
同市では09年、整理・売却の危機に直面した秋田社会保険病院(同市緑町)を守る市民団体が結成され、存続を求めて地域住民の集いや署名活動を展開した。29回目を数える今回の同ミュージカルは、この市民パワーなどをヒントに企画された。
物語は、戦後のベビーブームに活躍した助産師の姿や、現代の少子化の現場、医師不足から里帰り出産もままならないなど地域医療の現実を踏まえ、病院存続に向けて医師集めに奔走する市民の熱き思いを笑いと涙で舞台化したオリジナル作。存続が決まった秋田社会保険病院が情報提供や舞台作りをバックアップする。
脚本・演出担当の伊藤洋文・制作委副代表は「社会問題化している地域医療の問題に少しでも関心を持ってもらうためにも、ぜひ公演を成功させたい」と話している。
当日は午後1時半開演。入場料1500円。【田村彦志】
毎日新聞 2010年2月6日 地方版