去年(2009年)7月10日の早朝、自宅の床下にガソリンをしみこませたタオルを投げ込んで放火した男の、県内3例目となる裁判員裁判は、きょう(26日)被告人質問や被告の両親の証人尋問のあと、検察側が懲役5年を求刑し、結審しました。
現住建造物放火の罪に問われているのは、和歌山市杭ノ瀬の電気工事士見習い、坂口敏洋(さかぐち・としひろ)被告31歳です。起訴状などによりますと、坂口被告は銀行や消費者金融などから借金を重ねたほか、父親の預金通帳から勝手に現金を引き出して、風俗店やラウンジで遊び、銀行からの明細書を両親に知られる事を恐れて、2009年7月10日の午前4時ごろ、自宅床下の通気孔にガソリンをしみこませたタオル2本を投げ込んで、火をつけたとされます。
坂口被告は検察側の被告人質問に対して「大阪のパチンコ店放火事件をラジオのニュースで聞き、ガソリンでの放火を思いついた。火災保険があるので燃えても元にもどると思っていた」などと犯行にいたったいきさつを述べました。午後には坂口被告の両親への証人尋問が行われ、女性裁判員から今後の被告の更正について「息子と対話を重ねて日々管理をする」と答えた父親に対して、男性裁判員が「その言葉に具体性が感じられない。両親がいつまでも健在ではないし、生活習慣や癖はなかなかなおりにくいのではないか」と指摘しました。このあと検察側が「被告の身勝手で計画的な犯行に同情の余地はない」として、坂口被告に懲役5年を求刑しました。弁護側は執行猶予のついた判決を求め結審しました。判決はあす(27日)午後3時に言い渡される見通しです。