「報道各社におかれましては、適切な報道を行って頂きますよう心よりお願いいたします」
国営諫早湾干拓事業(諫干)を巡り、1月7日、赤潮などでノリ養殖ができないとして、漁民が抗議行動した際、県庁が公表した文書の末尾にはこう書かれていた。余計な文言だったと思う。
漁民は赤潮発生が諫干調整池から排出される淡水などが原因だと訴えているが、県は因果関係はないと反論。「要請行動は甚だ遺憾」とした。しかし、遺憾だから、報道各社にまで「適切な報道を」と要望するのは、間違いだ。
県と漁民の双方に言い分があるなら、話し合いを深めればいい。自らの言い分を強く押し出そうとすれば、県と漁民との間の亀裂が深まるばかりではないだろうか。【柳瀬成一郎】
〔長崎版〕
毎日新聞 2010年2月3日 地方版