最終更新: 2010/02/06 13:38

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石油利権をめぐり迷走する資源大国ナイジェリアのぎらつく光と深い影を取材しました。

石油利権をめぐり、絶えることのない武力紛争と置き去りにされた貧困。迷走する資源大国・ナイジェリアのぎらつく光と深い影を取材しました。

アフリカ随一の人口を抱え、世界有数の産油量を誇る資源大国・ナイジェリア。
ナイジェリアの富の源である産油地域では、石油をめぐる危機が再び頭をもたげようとしている。
アフリカ大陸西側のナイジェリア。
日本の2倍以上という国土の南東部に、国家収入の大部分を支える石油資源が集中している。
「ニジェール・デルタ」と呼ばれる地域では、およそ半世紀にわたり、欧米系の企業が中心となり開発を進め、世界に石油を輸出してきた。
ナイジェリアで最初に石油が発見された場所のすぐ近くの村は、石油でかなりの莫大(ばくだい)な利益をあげているはずなのにもかかわらず、貧困が問題だという。
村の中を流れる川の岸辺では、積み上がったごみのそばで、住民が洗濯をしていた。
水道がないため、この水が飲料水にも使われているという。
2部屋の家に12人で暮らす32歳のティエブリさん。
村の世話役ではあるが、これといった職もなく、収入はゼロだという。
小さな畑で採れるバナナが日々をしのぐ糧だという。
ニジェール・デルタ住人のティエブリさんは「もう1つの問題は、電気が通っていないことです。見てわかるように、わたしたちは政府に見殺しにされているんです」と話した。
ナイジェリアに莫大な富と恵みをもたらす石油だが、貧困とともに見捨てられたという現地住民の不満は強い。
すでに40年以上前、この石油資源をめぐり、産油地帯を含む南東部では民族問題もからんだ大規模な内戦が起こっている。
ビアフラ戦争といわれたこの内戦で、紛争地域では深刻な飢餓が発生した。
世界はこの時、初めてアフリカ・ナイジェリアの衝撃的な飢餓状態を目の当たりにした。
石油資源を発端にしたこの3年間の内戦では、およそ200万人ともいわれる犠牲者を生んでいる。
しかし、内戦以降も住民の貧困や失業は解消されず、高まる不満は2000年代に入り再び噴出した。
さまざまな武装組織が結成され、石油施設への攻撃や、外国人技術者の誘拐・襲撃が頻発するようになる。
中でも、武装組織としては最大規模の勢力を持つニジェール・デルタ解放運動は、デルタ地域の石油精製施設などに対する攻撃を繰り返した。
ニジェール・デルタ解放運動武装メンバーは「この地域にいる多国籍企業のすべてが、生産を中止するだろう」と話した。
これに対し、政府は軍による掃討作戦の一方、メンバーへの恩赦などの懐柔策で油田地域の安定化を狙う。
ナイジェリア石油担当国務相は「ここ数年は、1日に50万バレルの石油が止められており、憂慮すべきことです」と話した。
そして、2009年10月にはニジェール・デルタ解放運動との停戦合意が成立していた。
だが、ニジェール・デルタ住人のティエブリさんは「恩赦を与えたあとにするべきことは何だと思いますか? 若者に仕事を与えなければ元の状態に戻ってしまいます」と語った。
ティエブリさんの予言通り、1週間前、ニジェール・デルタ解放運動は政府との停戦を破棄、「石油施設への攻撃を再開する」と宣言している。

(02/06 02:46)


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