NHK相撲中継「やめろ」など厳しい意見殺到
大相撲の横綱審議委員会の委員でもあるNHKの福地茂雄会長(75)が5日の定例会見で、元横綱朝青龍の騒動に関連し、視聴者からNHKに「不祥事を起こしている相撲の中継をやめるべき」などの厳しい意見が殺到していたことを明らかにした。朝青龍の引退表明については「いい選択。最善の道を選んだと思う」と語った。一方、東京都の石原慎太郎知事は「相撲協会も自業自得だ」と批判した。
福地会長は、朝青龍の一連の騒動をめぐり「NHKにもきわめて大きい視聴者からの声が届きました」と述べた。
NHKは、朝青龍が引退に追い込まれる原因となった知人男性に対する暴行騒ぎに関するニュースを1月22日から報道。引退表明前日の今月3日まで210件の意見が寄せられた。各場所中はNHK総合や衛星、ラジオなどで生中継していることもあり、「不祥事が相次ぐ相撲の中継をやめるべきだ」のほか、「朝青龍は横綱としての自覚がない」「朝青龍は引退すべき」など、比較的高齢の視聴者からの電話が多かったという。
また、引退のニュースが流れた後の4日午後3時から午後10時までは180件余りで、「引退は当然だ」という厳しい声も。引退を惜しむ同情的な意見もあったが、相撲協会に向けて「もっと毅然(きぜん)とすべき」「朝青龍に対してこれまでの処分が甘かった」「外国人力士も多く教育をもっときちんとすべき」などの意見も集まった。
福地会長は「私の意見ですが…」と前置きし、「横綱が強いのは最低条件。国技の最高位の位置づけで幅広い品格が求められる。相撲は子供たちにも愛されているスポーツ。とりわけ、横綱はあこがれの的でお手本にならないといけない。(騒ぎについて)そういうことを起こした自体で品位を傷つけることになると思う」と厳しい見方を示した。
引退については「朝青龍は最善の道、良い形を選んだのではないかなと思います」と指摘。「最善」とした理由を「横綱審議委員会として引退勧告をしたわけではないですよね。意見はそういった方に皆、傾いていましたけれど…。横綱審議委員会から全員一致で引退勧告を受けて引退する前に、自発的に引退するにこしたことはない。個人的にはいい選択をしたと思います」と続けた。
人気があった朝青龍がいなくなり、今後の相撲中継のあり方については「NHKの放送はすべて視聴者目線。視聴者から声をお聞きしながら検討すればいい」とした。
一方、福地会長自身も昨年12月、任期満了を待たずに会長職を辞任したいとの意向をNHK経営委員に伝え、進退が注目されている。11年1月の任期満了までを務めるかどうかについて「今話す必要はないから申し上げない」などと言及を避け「経営トップの出処進退は社内外に及ぼす影響が大きく、話すべきではない」と語った。
関連ニュース
PR