プリウス改修、戸惑う販売 トヨタ、日米で30万台 (2/2ページ)

2010.2.6 05:00

 この問題について、トヨタは、急ブレーキ時に横滑りなどを防ぐ「アンチロックブレーキシステム(ABS)」の電子制御が原因としている。同様のブレーキシステムは、昨年後半に投入したHV「SAI」「レクサスHS250h」にも採用されており、これら2車種も改修の必要性を調査する。

 エコカー戦略のシンボルであるプリウスの信頼が低下すれば、トヨタのブランド価値も大きく棄損されることは必至。信頼回復へ向けたトヨタの取り組みは、正念場を迎えている。

 米国では4日(現地時間)、問題となっているプリウスや、リコールが決まっている車種とは異なる高級車ブランド「レクサス」やピックアップトラックの「タコマ」、セダンの「カムリ」に関し、「走行中に急加速する」といった新たな苦情も寄せられていることがわかった。

 トヨタは今月10日、米国で開かれる下院の公聴会に経営陣が出席し、一連の問題の経緯を説明する。しかし、トヨタの対応が後手に回っていることに批判が集まっており、公聴会でトヨタの説明が納得できないと判断されれば、米国側はさらに態度を硬化させる可能性もある。

 自動車業界に詳しいアナリストは「個別の事象の説明だけなく、品質管理の手法や仕組みをトヨタがどう変えていくのか、広く示していくことが顧客離れを防ぐ唯一の方法だ」と指摘する。

 今後、安全性への懸念から販売が落ち込む可能性は高く、トヨタが示した通期の世界販売見通し718万台が達成できるかも黄信号がともる。

 また、通期の連結業績予想を800億円の最終黒字としたものの、減益要因として織りこんでいるのは、アクセルペダルのリコール関連費用など合計1700億~1800億円のみ。プリウス問題の影響を織り込んでいないうえ、さらに影響が広がれば、今期の業績が予想通りのレベルまで達するのか、来期以降も回復基調を保てるのかなどが、まったく不透明になってくる。

 業績回復の明かりが見えてきた矢先に未曾有の苦境に直面したトヨタ。販売台数世界一で手にした“王者”の座を守り抜くことができるか。世界中の注目が集まっている。(山口暢彦)

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