日経スペシャル「ガイアの夜明け」 6月28日放送 第167回
下克上!外食サバイバル
~グルメ戦争の勝者は誰だ~
繁華街を歩いていると、数日前まであった飲食店が別の店に変わっていることにふと気付くことがよくある。都市圏を中心とした外食産業の競争は激しさを増す一方だ。現在、東京で人気を呼んでいるのが、北海道発のジンギスカン料理店。"ここが商機"とばかりに異業種も参入、出店が相次いでいる。
しかし、市場規模27兆円ともいわれる外食産業全体を見ると、一部の人気店が大繁盛する一方で、次々と店が淘汰されていく。そして、繁盛店でさえも、人気が長続きするところは少ないのが現実だ。
外食産業は1990年代以降、右肩上がりで急拡大を続けてきたが、過去6年はマイナス成長の連続。外食産業の成長を支えた仕組みの一つがチェーン店舗システムだが、今その歪みが露呈し始めたともいわれる。
大きな曲がり角に立たされている外食チェーン。大手・新興・中小の3社を取材、"三者三様"の生き残りを賭けた新たな挑戦を追う。
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「北前そば高田屋」や中華料理「暖中」など、多業態戦略を打ち出してチェーン店舗を次々と展開、成長してきたタスコシステム。しかし2003年度に赤字に転落し、経営戦略の大幅な転換をせまられた。そこで今年、「第二創業期」を旗印に建て直し策を打ち出した。それは本社機能のスリム化と、FCチェーンの支援事業の拡大。
これまでの直営店中心の外食事業を見直し、中小の外食企業と提携してFC店の募集や経営指導、販促・店舗工事などノウハウを提供、FC関連事業に力を入れる。
過当競争の中で外食産業が内包してきた問題点を浮き彫りにすると同時に、タスコの新たな戦略の舞台裏に迫る。
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【外食FCの常識を打ち破る"1店舗1オーナー主義"】 |
一方、既存の画一的なFCシステムを全否定しユニークな店舗展開をする新興外食チェーンがある。"人間育成企業"と自らを標榜するムジャキフーズは現在、ラーメン店や中華料理店、すし店など首都圏を中心に39店舗を展開している。
急成長の理由は、ユニークな経営方針にある。それは「1店舗1オーナー主義」。店舗運営のコンセプト、立地条件、内外装のデザイン、メニュー、味などはすべて、会社側が画一的に決めるのではなく、店長が自身の権限で決める。従来の外食チェーンの常識を破るやり方だ。店長は、月1回開かれる社員投票によって選ばれる。23歳の若さで、このほど店長の座を獲得したのが入社2年目の山本昇平さん。彼が提案した店は「俺のハンバーグ山本」。オープンに向けて立地、仕入れ先選びなど全く初めての経験に戸惑う山本さんの姿を通して、社員のやる気を極限まで引き出すムジャキのユニークな経営戦略に迫る。
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6月14日、東京・全日空ホテルである記者発表が行われた。
中小外食チェーンによる新プロジェクトだ。代表の吉野幸則さんは1991年に都内でカレーの移動型店舗を開始。1997年にはその「バルチックカレー」のFC展開に乗り出し50店舗にまで拡大させたが、次第に売り上げが低下、5億円の赤字を計上してしまう。
生き残りをかけて立ち上げたのが日本で始めてのビジネスモデルとなる「新外食チェーン連合構想」、苦戦する中小外食チェーンのオーナーと手を組んだ。参加企業は、居酒屋チェーンを展開する「甚八」、ほかほか弁当チェーンを展開する「日本フードサービス」、広島を拠点に多業態を展開する「むてかつ」、焼きたてパンの店舗展開をする「ぱんどーら」、さらに水産加工品の商社「タキゼン」。
苦戦する外食店経営者を対象に、業態紹介や店舗買取で「事業再生型」FC展開で活路を見出す戦いがはじまった・・。
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