岡山放送局

2010年2月5日 19時24分更新

病気腎移植提供者が提訴

病気を理由に摘出した腎臓を別の患者に移植する「病気腎移植」を巡り、4年前、提供者となった岡山県の女性が実際にはがんではなかったのに、医師からがんであると説明されて腎臓を摘出されたとして、手術を行った病院を設置している備前市に対し3700万円あまりの損害賠償を求める訴えを岡山地方裁判所に起こしました。訴えをおこしたのは、岡山県の70代の女性です。

訴えによりますと女性は、平成18年7月、岡山県備前市の市立吉永病院で、実際にはがんではなかったにもかかわらず、担当の医師から「九分九厘がんなので手術させて欲しい」と求められ、左の腎臓を摘出されたということです。摘出された腎臓は、その後、別の患者に移植されたということで、女性は、「十分な検査を行わなかった結果、がんであると誤診したもので医師として必要な注意義務を怠った」として、3700万円あまりの損害賠償を求める訴えを今月3日岡山地方裁判所に起こしました。

これについて備前市は「訴状をまだ見ていないのでコメントできない。今後の対応は訴状を見て検討したい」と話しています。

病気を理由に摘出した腎臓を別の患者に移植する、「病気腎移植」をめぐっては過去に行われた42件の手術に対して、日本移植学会などが、本来の病気の治療や検査が十分行われないまま取り出す必要のない腎臓が摘出されていたのではないかと指摘していました。