津久見市保戸島上小路地区の火災現場=5日午前5時25分
5日午前2時50分ごろ、津久見市保戸島上小路地区の住宅密集地から出火、民家や空き家など6棟を全焼した。2人が被災し、1人の遺体が見つかった。行方が分からなくなっている無職古田清貴さん(57)ではないかとみて、津久見署が身元の確認を急いでいる。
現場は徒歩でしか近寄れず、消火活動は難航、約3時間後の午前5時45分ごろ、ようやく消えた。
火災が起きたのは連絡船の着く保戸島漁港から住宅街の坂を400メートルほど上がった居住地域の最上部。風にあおられて火勢は増した。
津久見署によると、木造平屋の古田さん方、木造2階の無職小山ミツ子さん(83)方、空き家2棟、廃屋2棟を全焼した。一時、裏山にも飛び火した。焼失総面積は約500平方メートル。小山さんは無事だった
同署や津久見市消防本部は午前10時から実況見分をしている。
「島が真っ赤」 海越え消火応援
高齢化が進む離島は消防団員が不足し、消火作業は難航した。島の一大事に対岸の同市四浦地区から消防団員が船で駆け付け、さらなる延焼を食い止めた。
「島が真っ赤だ」。四浦地区の後藤良洋第5分団長(63)は島に向かう船上で目を見開いた。団員80人が漁船に分乗し、ポンプ7台を積んで島を目指した。
そのころ島では、女性たちがバケツリレーに加わり、住民が家庭用消火器を持ち出すなどして消火に当たっていた。
火災発生から約40分後に到着。現場は傾斜地の上部で狭い路地が続く。後藤分団長は「島民が通したホースを頼りにみんなでポンプを抱え、駆け上がった」と話す。
海から吹き上げる風で火の粉が舞い、山に飛び火。急いで約400メートル離れた海から何重にもホースを連結させて現場までつないだ。
保戸島消防団の中村六吉さん(58)は「島の消防団は30人ぐらい。四浦の応援がなかったらもっと焼けていた。助かった」と胸をなで下ろした。
後藤分団長は「今度はわたしたちが保戸島の人たちに助けられるかも知れない。お互いさまです」と話した。
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