「フィギュアスケート四大陸選手権最終日」(30日、韓国・全州華山氷上競技場)
トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2回成功させ復活Vを果たした浅田真央(19)=中京大=が、2位に入った鈴木明子(24)=邦和スポーツランド=と会見を行った。五輪で女性として唯一トリプルアクセルを成功させた大先輩の伊藤みどりさん(40)の当時の映像を持参し、“お守り”とすることを明かした。この日は男子フリーが行われ、町田樹(19)=関大=が銀メダルを獲得した。
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印象に残る五輪を問われた浅田は「アルベールビル五輪の伊藤みどりさん。みどりさんの映像はよく見ます。ジャンプがすごい。すごいなと思う」と、真っ先に元祖ジャンプの女王の名を挙げた。
今季、浅田が悩んだトリプルアクセルだが、その先駆者が伊藤さんだ。88年に女子選手として公式試合で初めて決めた。92年アルベールビル五輪でのトリプルアクセルは、女子選手による唯一の五輪成功例となっている。
「(当時の映像を)パソコンに取り込んであるので見られます。五輪前に見ると思います」と、バンクーバーにも持ち込む意向。伊藤さんのジャンプを脳裏に焼き付けて、大舞台に出陣する。
本番までの調整過程にも万全を期す。今大会を終えて、従来の19日前後に移動する案のほか、時差調整のための早期に北米入り案、タチアナ・タラソワコーチ(62)の指導を受けるためロシア・モスクワを経由して現地へ向かう案の3つが浮上。関係者は「真央の状態を見て決めたい。あらゆる状況を考えて手配しています」と明かした。
タラソワコーチは今大会、体調不良で不在。浅田はメールで届いた「心を強く持って頑張れ」という言葉を胸に滑った。ロシア入りすれば師から五輪前最後のレッスンを仰ぎ、納得のいく総仕上げができるなど、メリットは大きい。体調や、調整度合いなどを総合的に判断し、最終的に金メダルに最も近いプランを採用する。
万全の調整を経て挑む五輪へ「気持ちも向かってます」。伊藤さん以来五輪史上2人目のトリプルアクセル成功で、歴史に名を刻む。