在日本朝鮮人総聯合会について |
△朝鮮総聯の前身、朝聯の結成
△朝聯の解散と民戦の結成。存亡の危機に立った在日朝鮮人運動
△金日成主席の路線転換方針提示
△路線転換方針の具現へ
△朝鮮総聯の結成
△総聯の性格
△総聯の活動原則
△総聯の綱領と規約
△中央機構
△地方本部、支部、分会
1955年5月25日に結成された在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)は、朝鮮民主主義人民共和国の指導思想であるチュチェ思想を指導指針とし、祖国と民族を愛し、同胞に献身し、祖国統一のために活動する共和国の海外公民団体です。
△朝鮮総聯の前身、朝聯の結成
1945年8月15日、朝鮮は日本帝国主義の植民地支配から解放されました。在日朝鮮人も、この時から初めて、独立した民族の一員として自己の組織を作り、祖国と民族のために胸を張って生きれるようになったのです。
在日の愛国的活動家たちは、同年8月20日、神奈川県で「関東地方朝鮮人会」を組織したのをはじめ、東京、大阪、兵庫など日本各地で組織作りに取り組みました。
分散されていた組織を一つにまとめるため全力を傾けた結果、9月10日には、関東地方の18の団体から選抜された60余人の代表が一堂に会し、在日本朝鮮人聯盟結成準備委員会を発足させました。
同年10月10日には、朝鮮新報の前身である民衆新聞が創刊。46年9月には解放新聞に題号を改めます。
そして10月15日、在日本朝鮮人聯盟(朝聯)が結成されたのです。朝聯は、商工人、青年学生、女性、労働者、インテリをはじめ各界各層の広範な朝鮮同胞を網羅した海外僑胞組織であり、彼らの意思と利益を代表する民主主義的な愛国組織でした。
とくに民族教育事業に力を入れ、46年4月4日に国語講習所を3年制初等学院に改編。在日同胞の初等教育の始まりでした。また、10月5日には東京朝鮮中学校が創立されます。
朝聯は、金日成主席が46年12月13日に発表した公開書簡 「在日100万同胞に」で示した課題を実現するため、自己の組織をいっそう強化し、在日同胞の祖国への帰国実現と生活の安定をはかる活動を推し進めました。
△朝聯の解散と民戦の結成。存亡の危機に立った在日朝鮮人運動
朝鮮に対する侵略戦争を準備していたアメリカの指図を受けた日本当局は、49年9月8日、朝聯と民青(在日本朝鮮民主青年同盟)を強制的に解散させ、幹部たちを公職から追放してその財産を没収しました。
10月9日には「学校閉鎖令」を発令し、朝鮮学校に対する弾圧を強化しました。翌50年8月には「解放新聞」、9月には「建設通信」(48年10月に創刊した朝鮮通信の前身)をそれぞれ強制的に廃刊に追い込みました。
50年6月25日、朝鮮戦争が勃発します。在日同胞は「すべての力を戦争の勝利のために」との金日成主席の放送演説に答え、祖国を守るたたかいに立ち上がります。同時に組織の再構築に全力を注ぎ、51年1月9日には在日朝鮮統一民主戦線(民戦)を結成しました。
ところがこの頃、在日朝鮮人運動の指導的地位にいた一部の事大主義、民族虚無主義者たちは、在日朝鮮人を自主独立国家の海外公民とみなすのではなく、日本の「少数民族」とみなし、祖国のためにたたかうことを「偏狭なナショナリズム」だと非難しました。
そして51年12月の民戦第2回大会では、朝鮮民主主義人民共和国を支持擁護する項目を綱領草案から削除してしまいました。主体を失った在日朝鮮人運動は、存亡の危機に立たされたのです。
△金日成主席の路線転換方針提示
当時、韓徳銖・現朝鮮総聯中央議長をはじめとする愛国的活動家たちは、このような誤った路線を修正するために、尽力していました。
彼らは、53年初、在日朝鮮人運動の現状を金日成主席に報告しました。報告を受けた金日成主席は、在日朝鮮人運動のための主体的な路線転換方針を明らかにしました。主席が示した路線転換方針の内容は次のようなものでした。
1、在日同胞は日本に住んでいるが、日本の革命のためではなく、祖国のためにたたかわなければならない。
2、在日朝鮮人運動は、祖国の指導と祖国との緊密な連係のもとに進めなければならない。
3、在日同胞は、自身が主人となって愛国運動を展開しなければならない。
金日成主席は、路線転換方針を実現するためには、共和国の指導のもとに活動する独自の民族組織を作らなければならないと述べ、その組織は @在日朝鮮人の生活と共和国公民権の擁護 A民主主義的民族教育権利の保障 B祖国統一の成就――などを基本的な活動内容として活動しなければならないことを明らかにしました。
韓徳銖議長は52年4月28日、「白秀峰」のペンネームで論文「愛国陣営の純化と強化のために」を発表し、在日朝鮮人運動を危機に陥れた民戦の運動方針を厳しく批判しました。そして、在日朝鮮人運動は、在日同胞を共和国政府の周りに結集し、共和国を守るための運動にならなければならないと主張しました。
△路線転換方針の具現へ
路線転換方針を実現するうえで重要な契機となったのは、55年3月11〜12日に開かれた民戦第19回中央委員会でした。
会議では、韓徳銖・現朝鮮総聯中央議長が、祖国統一民主主義戦線中央委員の資格で「在日朝鮮人運動の転換について」と題して演説しました。韓議長は演説で、@民戦の運動は根本的に誤った方向で行われた Aこれからの在日朝鮮人運動は、金日成主席が示した路線転換方針に従わなければならず、これは情勢発展による「戦術転換」ではなく「路線転換」である B主席の教えを指針として8つの課題を徹底的に遂行していく――ことなどを明らかにしました。
こうして、会議では在日朝鮮人運動の路線を転換することを決定したのです。
△朝鮮総聯の結成
55年5月24日に開かれた民戦第6回臨時大会では、祖国のためではなく日本のためにたたかうよう主張し、在日朝鮮人運動の主体を失わせ、危機に陥れた民戦の誤りを原則的に批判、民戦の解散を決定しました。この決定により、新しい組織を結成することになったのです。
そして55年5月25日、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)が結成されます。
結成大会は5月25、26の両日、東京の浅草公会堂で行われました。結成大会には468人の代議員と600人の傍聴者が参加しました。
大会は、金日成主席が示した路線転換方針を具現した一般運動方針と創立宣言、綱領と規約を採択し、朝鮮総聯の結成を宣布し、今日に至っています。
△総聯の性格
1)朝鮮総聯は共和国の海外公民団体
朝鮮民主主義人民共和国を支持し、共和国政府の指導思想であるチュチェ思想を指導理念とする共和国の海外公民団体です。
2)各界各層を網羅した大衆団体
思想、政見、信仰、職業、財産、過去の経歴などを問わず、総聯の綱領と規約を承認する各界各層の人々を網羅しています。
傘下には商工人、青年学生、女性、教職員、金融の専門家、言論人、学者、技術者、医師、芸術家、スポーツマン、宗教人など多彩な層の人々を網羅する22の団体と専門機関が加入しています。
3)祖国統一と権利擁護をめざし活動する団体
祖国の自主的平和統一の実現を基本使命としています。1国家、1民族、2制度、2政府に基づく連邦制による統一を主張します。
日本政府のあらゆる民族差別政策に反対し、在日朝鮮人の基本的権利を守ることを自己の義務とみなして活動しており、教育権をはじめとする権利獲得運動も活発に行っています。
在日外国人の地方「参政権」獲得には反対します。
自主、平和、親善の理念に基づき、日本の人々をはじめ世界各国の人々との友好と親善をはかることを、モットーにしています。
△総聯の活動原則
1)チュチェの原則
チュチェ思想を指導指針としており、すべての活動を祖国と民族の利益を守る立場から繰り広げています。運動の主人は在日同胞であり、運動を推し進める力も同胞にあります。また、日本の中で民族性をしっかり守り、母語である朝鮮語を使い活動しています。
2)大衆路線
大衆路線を貫くことを原則にしています。活動においては、同胞の利益をつねに最優先してそれを擁護し、同胞に献身的に服務する立場を堅持しています。活動家は同胞の中に入り、彼らの生活に密着して仕事をするよう心がけています。そして、同胞の悩みや苦労などを真心をもって解決するために、日々努力しています。
3)内政不干渉
祖国と民族のために貢献しようとする在日同胞の意向に沿って、主体的な立場で活動しているため、日本の法律と政治、社会制度を尊重し、日本の内政には干渉しない立場を堅持しています。しかし、総聯の自主的な活動と、在日同胞の生活に直接かかわる問題については、適時に対処します。
△総聯の綱領と規約
朝鮮総聯の綱領と規約は1995年9月の朝鮮総聯第17回全体大会で改正されました。改正された綱領は以下のとおりです。
1、われわれは、すべての在日同胞を朝鮮民族の真の祖国である朝鮮民主主義人民共和国の周りに総結集させ、愛国愛族の旗のもとにチュチェ偉業の継承、完成のために献身する。
2、われわれは、在日同胞の共和国公民権を守り、人権、生活権、企業権をはじめとするすべての民主主義的民族権利と国際法で公認された合法的権利を完全に行使するようにし、あらゆる民族的差別と迫害行為に反対する。
3、われわれは、民主主義的民族教育を強化発展させ、在日同胞子女を知徳体を兼備した有能な民族人材、真の愛国者に育てる。
4、われわれは、在日同胞の間で民族の魂である母国の言葉と文字を守り、民族文化を発展させ、5千年の単一民族の構成員としての民族性を生かし、在日同胞の社会で和睦と団結、相扶相助の美風を高める。
5、われわれは社会主義祖国を熱烈に愛し、確固と擁護し、祖国との合弁、合作と交流事業を経済、文化、科学技術の各分野で強化し、わが国、わが祖国の富強発展に貢献する。
6、われわれは、全民族大団結の旗のもとに、70万在日同胞の民族的団結を達成し、北と南、海外同胞との民族的絆を強化発展させ、あらゆる反統一勢力の策動を断固排撃し、連邦制方式で祖国の自主的平和統一を成就するために全力を尽くす。
7、われわれは、日本人民との親善と連帯を広げ、朝・日両国の国交を正常化し、真の善隣関係を発展させるために努力する。
8、われわれは、自主、平和、親善の理念のもとに世界の進歩的人民との国際的連帯と絆を強化し、世界の平和と自主化のために寄与する。
△中央機構
―全体大会
朝鮮総聯の最高決議機関。3年に1回、定期的に招集されます。ただし、中央委員あるいは地方本部執行委員会の3分の1以上の要求がある時は、臨時大会を招集することができます。大会は代議員、中央委員、監査委員によって構成されます。
@中央委員会と監査委員会の事業報告に対する審議、決定 A基本方針の策定 B重要事項の議決 C会計報告および予算案の審議 D綱領、規約の審議採決 E議長、第一副議長、責任副議長、副議長、事務総局長、中央委員および監査委員の選定――を任務とします。
―中央委員会
次期大会までの最高決議機関。議長、第1副議長、責任副議長、副議長、事務総局長、中央委員、監査委員によって構成されており、6ヵ月に1回、中央常任委員会が招集します。ただし、中央常任委員会で必要な場合、もしくは中央委員の3分の1以上の要求があった場合、臨時委員会を招集できます。
重要かつ緊急な問題が生じた場合、中央委員、監査委員および地方機関と加入団体の代表者たちで、中央委員会拡大会議を招集し、全体大会に準じる任務を遂行できます。
@大会で決定された諸般の方針を執行するための具体的対策の策定 A中央常任委員会活動報告の審議、決定 B各種建議案についての審議、決定 C中央常任委員の選定 D全体大会の準備と招集 Eその他――を任務とします。
―中央常任委員会
議長、第1副議長、責任副議長、副議長、事務総局長および各局長、事務総局副総局長で構成。
全体大会と中央委員会決定により朝鮮総聯の諸般の活動を組織指導します。ただし、監査委員会委員長もこれに参加することができます。
中央常任委員会は随時、議長が招集します。
中央常任委員会には事務総局と各専門局を設けます。
議長は朝鮮総聯を代表し、総聯のすべての事業を主管します。
第18期中央常任委員会は次のとおりです。
議長 | 韓徳銖(ハン・ドクス) |
第1副議長 | 徐萬述(ソ・マンスル) |
責任副議長 | 許宗萬(ホ・ジョンマン) |
副議長 | 朴在魯(パク・チェロ) |
権淳徽(クォン・スニ) | |
呉亨鎮(オ・ヒョンジン) | |
金泰煕(キム・テフィ)※ | |
副議長待遇 | 崔秉柞(チェ・ビョンジョ) |
事務総局長 | 李沂碩(リ・ギソク) |
組織局長 | 河泰弘(ハ・テホン) |
文化宣伝局長 | 「真求(ペ・ジング) |
統一運動局長 | 梁寿正(リャン・スジョン) |
教育局長 | 朴点石(パク・チョムソク) |
国際局長 | 南昇祐(ナム・スンウ) |
経済局長 | ゙冬煥(チョウ・ドンファン) |
同胞生活局長 | 柳光守(リュウ・グァンス) |
財政局長 | 康永官(カン・ヨングァン) |
事務総局副総局長 | 鄭光壽(チョン・グァンス) |
経済委員会事務局長 | 朴云承(パク・ウンスン) |
祖国訪問事務所所長 | 金基普iキム・ギチョル) |
※金泰煕副議長逝去
監査委員会委員長=洪仁欽(ホン・インフム)
△地方本部、支部、分会
―地方本部
日本の都道府県ごとに地方本部が設けられています。ただし東京都には、東京都本部と西東京本部があります。現在は48本部。
総聯中央の決定と方針を自己の地域で執行するための事業を企画、遂行し、管下の諸団体と朝鮮信用組合、金剛保険などの事業体、学校の活動を支援します。
地方本部は、総聯活動の地域の拠点として、各界各層の在日同胞を結集し、民族教育の発展と民主主義的民族権利の擁護、祖国統一の促進のために活動しています。
―支部
総聯の地方本部は当該地域を区分して支部を設けています。現在約280。
支部は総聯の末端指導機関であり、最高議決機関は支部大会(総会)です。
支部は同胞の生活と直接かかわる分会の活動を組織指導し、商工会、青年同盟、女性同盟、学校、朝信などの活動も支援します。 同胞と直接活動する支部を中心に、同胞との活動を強化することが強調されています。
―分会
分会は総聯の基層組織であり、在日同胞が自主的な社会生活を営み、祖国と民族のために活動する実践単位です。現在1300余。
分会には総聯会員で構成される分会総会があり、総会では分会の活動計画を決め、分会委員を選出します。
分会委員会は分会長、顧問、副分会長、分会委員、班長らで構成されます。