ムスタン旅行記2004-2005
 
ネパール・ヒマラヤ山脈の間を擦り抜けた先にある小さな台地、チベット国境との小さな隙間にムスタンと呼ばれる地域があります。ここは古くはチベットのロー国と呼ばれる地域で、近年まで外国人が入域できない地域でした。8〜9世紀頃(Jan推定)にチベット仏教が広まり、それ以降はロー国としてチベット王国の一部として主に塩交易で栄えてきたが、19〜20世紀のチベット国境封鎖によって急衰したと言われます。
 

   


【追加写真】出発前日、5年ぶりにポカラに泊まりました。夕方、湖のほとりに出ると学校帰りの子供たちが対岸の家へ向かうところでした。
トレッキングスタート地点「ジョムソン空港」。双発のドルニエ機にて着陸。空港というより飛行場といった趣き。日本のODAっぽい空港ビルには学校の理科室みたいな食堂も
カリガンダキ川を上流へと遡る。河原を延々と歩く。足元に注意して見ていると、ときどき化石が落ちている。
1日目のキャンプ地「カグベニ」。この辺はまだ電気が通じている。チェックポストがあり、許可証が無いとこれより上に行けない。
【追加写真】2日目の朝「カグベニ」を上方から見下ろす。赤い建物はゴンパ(寺院)。
カグベニより上はいよいよアッパームスタン。川が蛇行しているため、斜面を歩く。一歩踏み外すと下まで落ちる!
途中の村「タンベ」にあるゾン(城跡)。ムスタン全盛期の名残りか。
途中の村「チュンサン」で見かけた魔除け(山羊の頭骨)
2日目は手間取ったのでトレック中に日没を迎える。さすがに高地なので空は美しい。そして気温はどんどん下がる。
2日目のキャンプ地「ツェレ」。斜面に築かれた村。
3日目は河原ではなく、断崖絶壁を歩く。落ちたら命は無い。
上りが多いので、馬が登場。予想外の出費!といっても日本円に直せば安いけど。僕の馬には手綱も鞍も無く、酷いもんだった。
途中の村「サーマル」は「赤土」の意。河口慧海のチベット紀行にも登場している村。
【追加写真】ずっと馬に乗って移動できるわけではない、難所では馬を降りて歩かなければ。
「ガミ」に向かう途中、4000mを越える峠には無数のタカ(白布)が結ばれていた。
3日目のキャンプ地「ゲーリン」。非常に保守的な雰囲気。
4日目のキャンプ地「ツァーラン」にあるゾンとロー王の離宮。河口慧海はこの村に逗留していた。
ローマンタンまであと少し!とうとう雪が降って来た。
ついに見えた!深山の城郭都市「ローマンタン」
これが今回の目的地「ローマンタン」、城壁に囲まれた古代都市。しかし近年では外部、とくに東側へのスプロールがはじまっている。
ローマンタンのメインゲート。北側の壁に木製の扉がある。朝6時に開門、夜10時に閉門されるという。
ロー王の居城。しかし王は前日にカトマンズへ赴いた後だった。4層から成る日干しレンガ造の建物は108の部屋があると言われる。もちろんそれは煩悩の数。
ローマンタンの城郭内部。なかなか高密度な町並み。南から北へかけて緩やかな傾斜になっており、水はけが考慮されている。
ローマンタンの町中には、このようにトンネルのようになった部分もある。
西側にあるグンバ(ゴンパ(寺))。マハーマウリヤ像があり、日出の光によって照らされた像が王宮から眺められる角度になっているとのこと。
冬季はパイプラインが凍結するため、毎朝水汲みを行う。
いつも遊びに来る子供も、家事はきちんと手伝う。
我々が滞在したキャンプサイト。空調無し、シャワー無し、電気無し、トイレ仮設。ちなみにこれは城壁の外側、東の方角に位置している。
キャンプサイトで調理する様子。この日はヤギのご馳走。
ローマンタンの子供と犬。ローマンタンの犬はとても大きいが、この犬は普通でおとなしい。
これはヤクと牛の掛け合わせであるゾッキョという動物。チベット特産の一代交配種、高地に強い。手前は普通の牛。
経文が刻まれたマニ石。必ず左側を歩くのがチベット仏教の流儀。
この日はさらに奥地の「エチェンプ」という村に向かう。
エチェンプに向かう途中、強烈な北風が行く手を阻む。
エチェンプは9世紀に作られた穴居住居・半穴居住居が現存する村。
エチェンプの穴居住居外部。
エチェンプの穴居住居内部、天井の煤が1000年以上の歴史を物語っている。
穴居住居の住人である子供。煤で顔が真っ黒。
いよいよ下山。ローマンタンを発つ。僕は歩いてみることにしました。
下山といっても、下りばかりではない。調理器具を運ぶポーターたち。
4000m級の峠に再び到達。往路5日の道程を3日で下る強行軍。
馬による渡河。荷物が濡れないか心配しながら見守る。
2.5日でカグベニ到着。ここまで約74km。ジョムソン空港まであと約10km。
ジョムソン到着、おつかれさまでした。
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