【経済】プリウスのリコール検討 トヨタ、国交省と協議2010年2月5日 13時33分 トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」に顧客の苦情が相次いでいる問題で、トヨタは5日、既に方針を決めているブレーキの電子制御プログラムの無料改修について、リコール(無料の回収・修理)での対応を含めた国土交通省との具体的な協議に入った。苦情が多発している米国でも改修を実施する方針で、対象は日米計約30万台。同様のブレーキシステムを採用している他のハイブリッド車についても、苦情の有無を調査する。 トヨタは「低速時にブレーキが利きにくい」との苦情への対応で、タイヤロックを防止する「アンチロックブレーキシステム(ABS)」の制御プログラムを改良ソフトに更新する無料改修を決めている。プリウスが発売された昨年5月から今年1月下旬までの販売車が対象で、国内は約17万6000台。系列販売会社には改良ソフトを送信済みで、納車前の車の更新作業が始まっている。 トヨタはこれらの対応をリコールとは異なるサービスキャンペーン(自主改修)で計画したが、ブレーキ問題が明らかになった3日以降、国交省には新たな苦情が約50件寄せられた。 顧客の不安拡大を懸念する声は政府内でも高まり、同省はトヨタとの本格的な協議を開始。トヨタも対応方法を見直し、公表義務で顧客周知が徹底されやすいリコールを検討課題に含めた。 米国での対応は現地当局との協議で決める方針で、豊田章男社長は4日、ラフード米運輸長官との電話会談で「安全を最優先課題に掲げる」と表明。品質に対する米消費者の信頼回復を急ぐ。 トヨタは昨秋の米フロアマット問題による自主改修で北米555万台、アクセル不良のリコールで米欧を中心に445万台の改修を迫られ、約1700億〜1800億円の負担が発生するとみている。プリウスへの対応で新たな負担は避けられず、業績への影響が懸念されている。 【リコール】 自動車メーカーが日本で車両改修を実施するには、欠陥の有無などによって、リコールなど3段階の市場対策が取れる。 リコール(無料の回収・修理)は、道路運送車両法で定められた措置で、設計・製造の不具合により同法の安全基準に抵触する場合実施する。法定措置以外では、安全基準に規定のない不具合が見つかった場合の「改善対策」や品質向上のための「サービスキャンペーン」がある。いずれの場合も国土交通省への届け出や通知が必要となる。 米国では、改善対策やサービスキャンペーンも含めてリコールと規定している。 (中日新聞)
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