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猫虐待死、3匹

2010年01月31日

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殺された野良猫の「愛ちゃん」。ファンが多く、公園のアイドルだった=北村美千代さん提供

 花博記念公園鶴見緑地(守口市・大阪市鶴見区)で今月、野良猫の虐待が立て続けに起き、3匹が息を引き取った。いずれも人なつこい猫をおびき寄せて襲ったとみられる。家族同様にかわいがってきた地域の人たちは心を痛めており、守口署は動物愛護法違反の疑いで捜査を始めた。

 「またやられてるぞ!」。26日午後6時すぎ、公園に叫び声が響いた。公園北側の広場で、ぐったりとした黒茶色の若い猫が街灯の下に置き去りにされていた。

 四肢は不自然な方向に曲がり、ヒゲが焼かれ、鼻先にロウが付着していた。骨折は7カ所あり、歯も2本抜けていた。近所の人たちが大阪市旭区の動物病院に運び込んだ。診察した獣医師坂口康祐さん(34)は「強い力でたたき付けたか、ハンマーのようなもので殴打したのか。こんなかわいそうな猫をみたのは初めて」。手術のしようもなく、安楽死させるほかなかった。

 10日前の16日午後7時すぎにも全く同じ場所で、トラ模様の猫が口から血を流し伏せているのをホームレスの男性が見つけた。弱々しい呼吸。ベンチにたたきつけられたのか、血痕が残っていた。連絡を受けて、大阪犬猫ネットワークの野上文代さん(50)が引き取ったが、間もなく死んだ。解剖の結果、頭の骨が折れ、肺から出血していたことがわかった。

 発見される約30分前、近くの主婦(63)がこの猫にえさをあげていた。つきまとって離れず、「人恋しいのかなと妙に気になり、振り向きながら帰った。まさかこんなことに……」と声を震わせた。

 さらに正月3日夜には、2件の現場から北に数百メートル離れた歩道で、散歩していた鶴見区の会社社長北村元ノ介さん(59)が歩道脇に猫の死骸(しがい)を見つけている。街灯の下で口から血を流していた。4年間可愛がってきたキジ猫「愛ちゃん」だと一目でわかった。

 愛ちゃんは北村さんの足音を聞き分け、木から下りてきては甘えた。娘が留学に行った直後、ぽっかりと空いた心のすき間を埋めてくれたという。家で飼おうとしたが、外が好きらしく、あきらめた。「ホンマにかわいくて賢い、ええ子やったのに」

 鶴見緑地では野良猫を増やさないよう、地域の有志が4年ほど前から100匹以上の猫の不妊・去勢手術を受けさせてきた。ピーク時の3分の1以下に減ったという。

 全国には、野良猫が増えて殺処分される不幸なケースを減らすために、野良猫にそうした手術をし、「地域猫」として住民が面倒を見るような取り組みもある。

 今回、そんな猫たちが狙われた。3件はいずれも街灯の下に無残な姿をさらけ出すように放置されており、同一犯の可能性もある。守口署は警戒を強めるとともに、情報提供を呼びかけるポスターを現場近くに設置する予定だ。

 園内ではこれまでにも猫の虐待死が繰り返されてきた。2005年には投げつけられるなどした猫十数匹の死体が相次いで見つかり、20代の男が逮捕された。昨年1月にはネコのしっぽをつかみ、たたきつけて殺したとして、守口市に住む京都大聴講生の男が罰金刑を受けた。男は捜査段階で「友人は次々と就職していくのに自分は不安定な身分のまま。癒やしを求めた猫に刃向かわれてかっとなった」と供述したという。

 野上さんは「安易に捨てられた猫が、それでも人を信じて近寄ったところで暴力をふるわれる。残虐な行為は凶悪犯罪の予兆であり看過できない。動物愛護の大切さを改めて訴えたい」と語り、目撃情報や公園で過ごす猫の引き取り手を募っている。

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