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【芸能・社会】

「かわいそうな存在であった」 デーモン閣下、朝青龍引退を語る

2010年2月5日 紙面から

朝青龍(左)と笑顔で握手を交わすデーモン閣下=2006年1月、両国国技館で(梅田竜一撮影)

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 朝青龍引退のニュースには、芸能界からも驚きの声が上がった。大相撲に詳しいデーモン閣下は、「残念」と率直な感想をもらし、「ある意味かわいそうな存在(被害者)であったとも言える」と横綱として教育しきれなかった結果を惜しんだ。また、テレビ各局はレギュラー番組を差し替えて会見を伝えるなど衝撃が広がった。

 【デーモン閣下のコメント全文】

 朝青龍の引退発表を聞いて、吾輩の率直な感想は「実に残念な結果になったな」というものである。理由は、これだけの『スター選手』がまだまだ第一人者の力がありながら、体力気力の限界とは別の理由で引退しなければならないという点につきる。

◆“執行猶予”が妥当

 いまさらになるが、今回の「知人に暴行をはたらいたとされる」騒動を受けて、吾輩は「減俸」および「執行猶予つき引退勧告」という処分が適当ではないかと思っていた。

 つまり「今度何か問題を起こしたら、どんなに些細なことでも即刻引退させるぞ」という内容だ。最後通告を受けたあとの朝青龍がどのように心を入れ替えて「横綱」に向き合っていくのか、見てみたかった。

 朝青龍はスポーツ選手・力士としてはたぐいまれな身体能力と気力・集中力・闘争心を兼ね備えた優秀な人であった。しかし一方で、「横綱」とは単なる最強者ではなく「日本人の心の奥底にある美徳」を具現化し、全力士の模範であることが求められる存在、であるということを最後まで完全には理解できなかったのではないかと感じざるを得ない。

◆教育に重きを置け

 朝青龍は土俵の上で勝負が終わった後に、相手にきちっと礼をすることが、結局最後までできなかった。いつも、しているのかが分からないような、ちょこっと首を傾けるだけの動作であった。

 外国から来た新弟子には、相撲の技術だけではなく日本の文化や美徳を教えることも、やっているのだろうが、今以上にかなりの重きを置いて叩き込む必要があると、強く感じる。

◆ある意味“被害者”

 そういう意味では、そういうことを深く理解できないまま、番付ばかりが上がってしまった朝青龍はある意味、かわいそうな存在(被害者)であったともいえる。

 吾輩は、機会があったら朝青龍に文化や美徳を教える「教育係」をやってみたいとすら思っていただけに、そんな必要もなくなってしまい、重ねて残念である。

 会見を開いた白鵬が涙を流しているのを見て、時の横綱・玉の海が急逝した際の、ライバル横綱・北の富士の姿がオーバーラップした。

 ちなみに、朝青龍が自分から引退を申し出なかったとしたら、相撲協会はどんな処分を用意していたのか、ぜひとも知りたいとも思っている。

 

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