朝青引退に「不正義だ」モンゴルから不満噴出

　朝青龍の母国モンゴルでは、横綱の突然の引退に対する不満の声が噴出した。大統領府高官は「日本の行動は不正義だ」と非難した。一方、朝青龍をモンゴルでスカウトした高知県・明徳義塾高の吉田圭一校長は「よく頑張った。本当にお疲れさま」と教え子を気遣った。

　モンゴル国内では４日、朝青龍の引退は大鵬の優勝３２回という大記録を抜かれることを恐れて日本側が圧力をかけたためだとの不満が爆発し、政府関係者や市民から反発の声が相次いだ。

　国民的英雄の動向に関心は極めて高く、テレビ局は引退表明を速報。大統領府高官は「日本側がいわゆる『暴行事件』を乱用して相撲界から引退させたということではないか。日本人力士の優勝回数記録を突破されることを嫌がったのだろう。日本の行動は不正義だ。モンゴル国民は不満を持っている」と批判した。

　朝青龍は、地元では同じウランバートル出身の横綱・白鵬よりも人気者。０７年に無断帰国しながら、サッカーの親善試合に出ていたことが大問題になった時も、モンゴル国内では「ちょっとサッカーをしただけで厳しい処分が下った」などという反応だった。

　市民の間では「横綱はモンゴルの誇りだっただけに、引退は非常に残念」（女性医師）と悲しむ声とともに「『郷に入れば郷に従え』で仕方ないかもしれないが、引退は日本相撲協会の圧力だ」（会社員）と「圧力説」が多く聞かれた。

　首都ウランバートルの民間テレビ局も４日夜のニュースで「強い横綱が優勝した直後に辞めるのは、日本国内で圧力があったからだ」と批判的に伝えた。テレビ局に勤める男性（３３）は「モンゴルでは日本での事件の重大性が分かってない人が多く、日本の相撲協会や世論の反応が厳しすぎると感じている人も多い」と説明した。

（2010年2月5日06時02分スポーツ報知）

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