朝青龍、突然の引退劇…「解雇」と迫られ観念
会見で涙する朝青龍
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大相撲の横綱・朝青龍(29=高砂部屋、本名・ドルゴルスレン・ダグワドルジ)が4日、1月の初場所中に起こした知人男性への暴行騒ぎの責任を取って引退することを決断。同日、日本相撲協会に引退届を提出した。東京・両国国技館で行われた定例の理事会に召喚されて事情聴取を受けた朝青龍だが、実質的には外部役員らの強硬意見に屈する形で引退に追い込まれた。
数々のトラブルを起こしてきた問題横綱がついに引退に追い込まれた。午後3時5分。理事会が行われている会議室から出てきた朝青龍は、群がる報道陣から「解雇ですか?」と問われると足を止め、10日ぶりに口を開いた。
「引退します。いろいろお世話になり、世間をお騒がせしました」
しょうすいした表情の朝青龍を囲む人垣が一気にざわめき、数人のテレビ局関係者が一報を伝えるために屋外へと急いだ。そんな周囲の慌ただしさに動じることもなく、目を真っ赤に充血させた朝青龍は「今は晴れたような気持ちです」と言葉を絞り出した。だが、その言葉とは裏腹に、突然の引退劇は事実上の解雇と言っていいものだった。
この日、日本相撲協会が開催した定例理事会では当初、今回の暴行問題の真相を究明するために設置された調査委員会による中間報告を聞くだけで、処分の検討すら行われない予定だった。だが、横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長が、午前11時開始予定の理事会に先駆けて武蔵川理事長に対し横審の総意として「引退勧告」を通告。その強硬な姿勢の背景には、適切な対応を求める文科省の存在と世論の反発があった。これを受け、武蔵川理事長は理事会の冒頭で横審が「引退勧告」に打って出る姿勢であることを発表。処分には至らないはずだった理事会の流れは、ここから一気に方向転換した。
理事会では外部役員の吉野準監事が、元警視総監の立場から厳罰を要求。他の理事からも解雇を求める声が上がった。話し合いは紛糾し、理事会は朝青龍の召喚を決め、昼食休憩に入った。午後1時に再開された理事会では、12人の新理事を前に朝青龍サイドは示談した被害者の嘆願書を用意するなどして処分の軽減を求めた。
だが、朝青龍が事件の経緯について「私は殴ってません」と否定すると、出席メンバーは一斉に反発した。吉野準監事、外部理事で元東京高検検事長の村山弘義理事(弁護士)らが「解雇にすべきだ」と激しく追及。理事会に「解雇」についての決を求めたが、賛成と反対が同数の6人だった。解雇反対派は「5場所出場停止」「大幅な減俸処分」などを提案したというが、午後1時35分に理事会は再び中断。一度退席した朝青龍は無表情で控室に戻り、再開を待った。
午後2時30分に理事会は再開したが、今度は解雇を求める声が過半数の7人に増えた。午後2時56分、業を煮やした九重親方らが朝青龍の待機する部屋に出向き「このままなら解雇になるぞ」と迫ると、横綱はついに引退を決断。最後は高砂親方が「引退します」と切り出した。引退しなければ解雇。解雇となれば1億円を超える退職金も手にできなくなる。形の上では引退でも、その実は、限りなく解雇に近いものだった。
横綱が優勝後に引退するのは大錦、栃木山以来3度目。数々の記録も樹立する傍ら、トラブル、騒動などの負の遺産も残した希代のヒール横綱にとっては“らしい”幕引き。だが、会見で流したのは「無念」の涙だったのかもしれない。
◆解雇と引退の違い 日本相撲協会の寄付行為によれば、解雇は理事会の議決により行うもの、引退は自分の意思によるとなっている。解雇は退職金が支給されないケースがほとんどだが、引退の場合は満額が支給される。横綱だった朝青龍には養老金と特別功労金が支払われる。
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