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朝青電撃引退!クビ迫られ、大慌て「届け出」 (2/2ページ)

2010.2.5 05:09
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朝青電撃引退!クビ迫られ、大慌て「届け出」
電撃引退!解雇を回避して自ら引退を決意した朝青龍。会見では土俵人生を振り返り、涙する場面もあった(撮影・千村安雄)【フォト】

 決断のときが、きた。数々の問題を起こしてきた横綱が、いよいよ腹をくくる。「引退届」は用意していなかった。理事会での事情聴取の後、控室に戻ると、行司が書いた引退届にサインし、印鑑をつく。師匠の高砂親方とともに理事会にその引退届を提出。受理されて、土俵を去ることが決まった。

 「大変、ご迷惑をおかけしました。報道陣を騒がせて、そういうことで引退させていただきました。けじめをつけるのはボクしかいない」

 初場所中に起こした泥酔暴行問題で、「引退」だけが残された選択肢だった。この日の理事会開催前に、協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)・鶴田卓彦委員長(82)=日本経済新聞社元相談役=は、武蔵川理事長に横審としての重大な決意を伝えた。「引退を勧告する」−。

 この日の理事会で処分が引き延ばされた場合、朝青龍に引退を迫る覚悟を突き付けていたのだ。

 こうした厳しい姿勢は、理事会にも伝わった。事態を重く受け止めていた武蔵川理事長を中心に「解雇」を求める意見が次々と飛び出した。12人が出席した午前の理事会。処分については意見が真っ二つに割れた。多数決では「解雇」が6票、「5場所連続出場停止」も6票。過半数に達しなかったため、いったん中断された。午後に再開された理事会では「解雇」が7票となった。

 関係者によると、1月31日、高砂一門の理事でもある九重親方(元横綱千代の富士)から直接、朝青龍は引退を迫られている。だが、被害者との示談が成立していることなどから、朝青龍は首を縦に振らなかった。

 横審、理事会からかかる過去にない強烈な圧力。実力行使もなされた。午後の事情聴取の途中、3人の理事が控室にいた朝青龍を囲み、「このままだと解雇になるぞ」。九重親方をはじめ、理事の二所ノ関親方(元関脇金剛)、友綱親方(元関脇魁輝)が強く引退を迫った。引退しなければ、横綱として史上初の解雇へ。朝青龍も観念した。

 協会は監督官庁の文部科学省に「理事会から引退勧告が出て、朝青龍が引退した」と報告。事実上、引退の名を借りた“解雇”ともいえる。

 「解雇」になれば、約3500万円の力士養老金(退職金)や1億円前後とみられる特別功労金も手にできない可能性があり、両国国技館で引退相撲を開くこともできない。11年の土俵人生で築き上げたすべてを失ってしまう。会見を開いた朝青龍は「まさか、こういうことに飲み込まれることは頭になかった。自分の運命だと思う…」。

 入門時の体重は106キロ。軽量だったが、スピードあふれる取り口を磨いた。出世が早く、平成15年初場所後に、年6場所制となった昭和33年以降初土俵の力士として最速(幕下付け出しを除く)となる、初土俵から25場所で横綱になった。平成17年には全盛期を迎え、全勝優勝2度を含め年6場所を完全制覇。84勝6敗の驚異的な成績を残した。初場所では史上3位となる25度目の幕内優勝も果たした。

 品格を問われ続けた横綱だが、約20分間の会見では思い出の土俵を振り返るとき、涙もみせた。昇進のときから一人横綱。土俵を支えながら、日本文化への関心も低く、問題行動を繰り返した。そして、最後も「暴行問題」で…。横綱在位42場所(歴代8位)。相撲界に残した汚点は消えることはないが、モンゴル人力士で初めて横綱に上り詰めた功績も記憶に残る−。

【朝青龍明徳(あさしょうりゅう・あきのり)】

 本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ。1980(昭和55)年9月27日、モンゴル生まれ、29歳。高砂部屋。平成9年に来日し高知・明徳義塾高相撲部で活躍。11年初場所初土俵。13年初場所新入幕。14年名古屋場所後に大関、15年初場所後にモンゴル出身力士として初めて横綱昇進。17年、史上初の年6場所全制覇と7連覇を達成。19年名古屋場所後、夏巡業への休場届を提出しながらモンゴルでサッカーに興じ、2場所出場停止処分を受けるなど数々のトラブルも起こした。得意は前まわしを引いての速攻、投げ。生涯成績は669勝173敗76休。幕内優勝は歴代3位の25回、殊勲賞は3回、敢闘賞は3回。1メートル84、154キロ。

【朝青龍の暴行問題】

 1月28日発売の「週刊新潮」に掲載された。朝青龍は初場所中の16日午前4時すぎ、東京・西麻布で飲食店責任者の男性を相手に激高。自動車の後部座席で顔面にパンチを浴びせ、運転手に「川へ行け」と命令。「お前をそこで殺してやる」と脅しながら暴行を続けた。男性は近くの路上で車を降り、交通事故処理中の麻布署員に「車内で殴られた」と被害を訴えた。男性は鼻骨骨折、頭部打撲など全治1カ月の重傷と診断された。 初場所千秋楽の翌25日、武蔵川理事長に朝青龍とともに呼び出された師匠の高砂親方は「(被害者とは)示談をしている」と報告したが、28日の理事会で示談は成立していないと前言を撤回。また、当初は横綱の個人マネジャー、一宮章広氏が「(被害者は)自分です」としていたことで、理事長には2つの“虚偽報告”がなされた。 また、暴行問題を捜査している警視庁は、突然の引退表明にも「進退と捜査を結び付けて考えていない」(幹部)と冷静に受け止め、捜査方針に変更はないとしている。警視庁は来週以降に知人男性から事情を聴いたうえで、朝青龍からも任意で事情を聴く方向で検討している。

 




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