「欲しがらない若者」 ビジネスパーソンが今の若者に違和感 が話題になっているので、ちょっと思ったことを。
「世代共通の希望」が、たぶん私たちの世代にはなかったと思う。例えば昔であれば、アメリカ式の新しい文化とか、高度経済成長というようなもの。みんなが手放しで信じているもの。もしかしたら大きな物語といってもいいかもしれない。
物心ついたころには「失われた10年」なんて叫ばれていて、大震災や少年犯罪など、暗いニュースが多かった。明るいのはスポーツ面くらいだ。自分自身が冷めていたのもあるけれど、日本経済についてポジティブになんてとてもなれない。
暗い文化の中で育ってきたとはいわない。でも経済が伸びていく感触、時代の空気がオープンになっていく感触というものが分からなかった。日本経済は現状維持がやっと。いつも不況で当たり前、という感覚だったと思う。ドキュメンタリー番組などでバブル期の映像なんかを見ても、これが本当に10年前の日本?という感じだった。
でも、大学生になって東京に出てくると、そこには驚くほど華やかな文化があった。当時は六本木や表参道、丸の内のあたりでやたら再開発をやっていた。高級なショップばかり入った、こんなの誰が買うんだよという感じの商業ビルが次々とできて、注目を集めていた。
テレビではホリエモンが、人の心はお金で買えると豪語していた。就活をしている先輩に話をきけば、外資金融コンサルが勝ち組でかっこいいんだよとみんなが言った。これからは世界をまたにかけて活躍するんだ。激務だけど自分の実力しだいでいくらでも上に行ける、俺は日系みたいに社会の歯車になんかなってやらないよ。私にだって人並みに、そういうものに憧れた時期はある。そういうドライな考え方が、日本に蔓延していたどん詰まり感をあっさり打ち砕いてくれるような気がした。まったく新しい価値を提示してくれたから。リーマンブラザーズやメリルリンチなんてまさに「勝ち組」の頂点だった。
格差があると言われながらも、あのころの文化は華やかで、楽観的だったと思う。フリーターが搾取されているといったって、彼らの多くは独自のライフスタイル、魅力的な世界をもっていた。自分たちがサブカル文化を支えていくという気概がたしかにあった。雇用の面で不安定でも、彼らにとってはそれがなによりの誇りだった(少なくとも自分にはそう見えた)。
もう低迷の時代は終わりなんだ、と初めて思った。私はそのころ確かに新しい世界を見た気がするし、信じてもいたと思う。
だから、リーマンショックが起きたあの日、何というか「裏切られた」気がしたんですよ。あぁ、あのバブリーな文化はまやかしだったんだな、って。一時的な盛り上がりに浮かれてはいられないんだ。共通の希望なんてやっぱりなかった。一見正しそうなものも、いつどうなるか分からないんだ。
六本木ヒルズにあるリーマンの看板を、道行く人が複雑な表情で見ていたのを覚えている。数日前までもてはやされてきた価値が、一瞬のうちに「過去」になった。
今だってそう。自民党が負けた。JALが破綻した。権威と呼ばれていたものが、目の前でことごとく崩れていく。
先行きが見えない。10年後がどうなるかのイメージも持てない。そんな中で私たちは何を信じて、何に希望を持って、「活発な若者」やっていけばいいんだろうね。
何でもかんでも強引に世代論にするのはよくないですけどね。近い将来、第二のロストジェネレーションと呼ばれるであろう人間の率直な感想です。
chiaki 2010/02/03 20:12 なんで会計士になりないの?
air_r 2010/02/04 01:33 これからのライフプランを考えて、興味のある分野の資格を取っておきたいと思ったからです。