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【結婚詐欺・連続不審死】状況証拠の積み重ねで立件
埼玉の連続不審死で1日に殺人容疑で逮捕された、木嶋佳苗容疑者(35)は、これまで詐欺や窃盗などの容疑で計6回も逮捕され、すべての事件で起訴されている。埼玉県警が再逮捕を重ねた背景には、自白や物証など直接証拠の乏しい中、状況証拠の積み重ねで殺人を含む事件の全体像を描こうとの方針があったとみられる。
県警は、最初の詐欺容疑での逮捕前の平成21年9月上旬、木嶋容疑者から任意で大出さん死亡の経緯について事情を聴いていた。捜査関係者によると、その際の感触は「殺害の自供を得ることは難しい」というものだったという。
また、大出さんへの犯行に使われたとみられる睡眠導入剤や練炭はいずれも大量に流通している製品。鑑定で木嶋容疑者が所持していたものと同種のものだと判明したが、直接、木嶋容疑者と犯行を結びつけることは困難だった。
そのため、県警はまず木嶋容疑者が結婚詐欺を繰り返していたことの立件に全力を挙げた。これまでに木嶋容疑者が起訴された事件の被害者は、大出さんを除いて5人。全員が木嶋容疑者にうその結婚話を持ちかけられていた。
ある捜査関係者は「大出さん殺害事件は詐欺と殺人がセットになっているのが特徴。他の結婚詐欺の立件は、事件の全体像を明確にする上で欠かせなかった」と話す。
また、県警は結婚詐欺の被害者の1人が、木嶋容疑者に睡眠導入剤を飲まされ、現金を盗まれていたことを立件。木嶋容疑者の犯行に睡眠導入剤を使うという特異な傾向があることを浮かび上がらせた。
間接的な事実を積み上げることで凶悪犯罪を立証する捜査手法は、証拠の乏しい事件捜査では一般的な手法ではある。ただ、今回の事件が殺人罪で起訴された場合は裁判員裁判の対象となる。「わかりやすさ」と「精密さ」の双方を満たす捜査が今後、求められる。(西尾美穂子)
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