●更新日 02/02●
脅迫、スパイ…、コスプレ業界の内乱 その1
日本最大のコスプレイヤー専用SNS・CUREの登録人数は約30万人。文化として完全に成立した感のあるコスプレだが、イベントを開催する側はヴェールに覆われている。10月某日、ある開催団体からメールが届いた。「他団体の人間に『殺すぞ』と脅迫された」。話を聞く内にコスプレ業界の実態が浮かび上がってきた。
「コスプレイベント以上に、楽で儲かる商売を私は知らない」。脅迫された人物が所属する団体の戸田氏(仮名)は語る。設備投資や特別な技能は必要ない。標準的な規模で100万円程度の収益が見込める“おいしい話”だというのだ。その開催権は抽選によって与えられる。「イベントの収益のみで生活する人も大勢います。だからこそ、イベントを打つために彼らは血眼になる。とはいえ出来ることは多くありません。それは抽選に参加する頭数を減らすこと。暴力的な手段を用いてでも、です」
脅迫を受けた羽田さん(仮名)
羽田さんは語る。「抽選会の最中、他の人も大勢いる中で、ワールドプランニングという団体の方に『殺してやりたい』『車でひき殺してやろうか』などと脅迫されました。私は、少なくとも彼らの気分を害することはしていないはずです。あまりにも理不尽で、恐ろしく、情けない話ですが倒れてしまいました」。その後羽田さんと脅迫をした人物は警察の聴取を受け、抽選には参加できなかった。羽田さんは心に傷を負い、現在不眠症に悩まされている。
抽選を取り仕切る管理会社職員に話を聞いた。脅迫について尋ねると「あった気もする」と言葉を濁したが、やがて「奴らに何を言っても仕方ない……」と諦めの胸中を語った。管理会社は東京都の委託で業務を行っており、団体に厳しい罰則を科すことは出来ず、彼らの良識に託すしかないのが現状。それ故に劣悪な行いが横行しているのだという。
抽選会の実態を知る必要がある。そう判断した記者は団体の登録証を借り受け、代理人として抽選会に参加した。
続く。
ニノマ
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