G2
G2G2
ノンフィクション新機軸メディアG2・・・・・・・・G2の最新情報をお届け!!「『G2メール』登録はこちら」ノンフィクション新機軸メディアG2・・・・・・・・G2の最新情報をお届け!!「『G2メール』登録はこちら」
G2

手記「池田大作創価学会名誉会長と私」

矢野絢也

戦後の政界、宗教界を牛耳ってきたニッポンのドン・池田大作
創価学会名誉会長。その素顔を知るものはほとんどいない。
かつて「側近」だった元公明党最高幹部が、
マインドコントロールという頸木〈くびき〉から逃れ、
いま初めて自分の体験を明かす。

第三回

演説はざっくばらん

私が愛した池田大作 「虚飾の王」との五〇年
  • 私が愛した池田大作
  • 「虚飾の王」との五〇年
  • 矢野絢也(元公明党委員長)
  • 講談社
  • 定価(税込):1700円

入室してくる池田氏の姿は颯爽としたものだ。さりげなく「やあ」などと手を振りながら悠然と歩く。時おり、「よお元気」などと出席者に声をかけながら会場を見回している。部屋の奥まで進むとまずは正面の祭壇に手を合わせる。お題目を三唱し、この時は会場全員これに合わせる。池田氏の登場によって話を中断させられた秋谷氏も同様だ。終わると池田氏はおもむろに、例の専用椅子にどっかりと腰を下ろす。
「続けろ」
言われて初めて秋谷氏は話を再開するが、もはや指導にも何にもならない。誰もそんなもの聞いてなどいない。おまけに時々、
「ほんとになあ。面白くない話だなあ」
などと池田氏から茶々が入るから、なおさらだ。
「事務的だなあ。官僚だよこれじゃ」
そのたびドッと会場から笑いが上がる。これでは話になどなるわけがない。出席者の間でも内心、
「本当だよ」
「とっとと終われ」
という雰囲気になってしまう。

ましてや時おり、池田氏は隣の幹部に向いて何か言う。
とたんにしーん、と会場は静まり返る。何を言っているか、全員が聞き取ろうとするのだ。もちろん聞こえるわけがない。一〇〇〇人以上も入る広い部屋なのだ。実際、一番前に座っている私でも聞き取れたことはない。おまけにただ、隣の人間に向かって小さな声でボソボソ何か言っているだけで、たいした話ではないに違いない。
それでもみな、聞き取ろうとする。針が落ちても聞こえるほど、しーんと静まり返って耳を澄ます。いま思い返しても不思議な光景だった。それも、毎回毎回こうなのである。
要はあれがマインドコントロールのテクニックだったのだろう。コケ脅しもハッタリもない。静かに池田氏が入場してわずか数秒で、その場にいる全員の心をワシ掴みにする。自分の一挙一動に注目させ、意のままに操ってしまう。開会前の演奏という雰囲気作りから始まって、会長の話の途中で入場してくるタイミングといい、すべては一貫した見事な演出のように見える。
ただそれを、いとも自然にこなしてしまう。おそらく本人も、自分の行動が与える効果はこういうもので、などと一々意識してやってはいまい。やはり、天才なのだ。墓場で声が聞こえるといった、あのエピソードと通底しているものがあろう。かくして会場の全員が、池田氏の操り人形と化してしまうのである。
結局、秋谷氏は話の途中で早々に、
「ではそういうわけでございますから、これで終わります」
と切り上げることになってしまう。池田氏が、
「何だ、もう終わりか。もっと続けろ」
などと言うこともあるが、これは単なるからかいだ。満場から、
「もうやめろ」
とばかりに秋谷氏が演壇から降りるのを促す意味の拍手が起こる。秋谷氏がサッサと引き上げると、会場は大笑い。要は会長ですら、池田氏を引き立てるための道化にすぎない。

このほかの作品
コメント / トラックバック2件
  1. ゆうか より:

    文中の池田氏が矢部氏に対し’最近人相が悪くなってきた’の所で失笑してしました。実際この人の人相ってすごいものがありますね。
    人の顔をどうこう言うのは卑劣な行為ですが、
    この場合顔の作りのことを言っているのではないですよ。
    人相のことです。
    学会批判本ということで、興味を持って少し読まさせていただきましたが、
    まあ売れるといいですね。こういう人相の人が書く、こういう本というかんじです。手っ取り早く小銭を稼ぐには最善の方法でしょう。

    もっと読み応えのある、知性を刺激してくれるような本を出版してください!
    そして不景気を明るく乗り越えられるような哲学、生きる意味を見失っている多くの人への励ましになるような本を待っています。

  2. 学会崩壊 より:

    まさに依正不二(えしょうふに)ですね。
    池田も矢野も悪人同士だから仕方ないですね。
    幹部になればなるほど、よ~く裏の裏を知っているんじゃないでしょうか。
    だからこそ真面目に信心している学会員が可愛そうです。
    師匠を間違えると結果はこうなるってことですね。

コメントをどうぞ
コメントは送っていただいてから公開されるまで数日かかる場合があります。
また、明らかな事実誤認、個人に対する誹謗中傷のコメントは表示いたしません。
ご了承をお願いいたします。

COURRiER Japon
  1. サイト内検索
  2. 執筆者

    矢野絢也矢野絢也
    (やの・じゅんや)
    1932年生まれ。大阪府出身。政治評論家。1967年に衆院議員となり、公明党書記長、委員長を歴任する。1993年、政界引退。2008年に創価学会を退会した。著書に『黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録』『「黒い手帖』裁判全記録』(ともに講談社)などがある。

  3. このほかの作品