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産業技術の危機

2010年2月4日0時12分

 鳩山政権の成長戦略は環境、観光、農業などに期待しているが、いくつかの補強が必要だろう。

 まずこれからの日本の「成長戦略」は質の重視により力点をおく必要がある。産業廃棄物の山を見ても、これまでの成長には「ムリ・ムラ・ムダ」が多い。その原因を見極め、取り除くことによってもっと実のある成長になるからである。

 また、雇用へのしわ寄せもあって、今は消費者の必要と痛みにジャストフィットする供給が求められているのだが、「良い物は売れるはず」という供給側からの発想や体質からの転換はまだ遅れている。人間の欲求をより深く洞察すると共に、技術やシステムにおいてもこれに対応するソフトの強化が急務である。

 「環境」については、温室効果ガスの25%削減の国際公約に見合う技術やシステムの開発の考え方や計画はまだ見えない。日本の環境技術は先行していたが、中国など諸外国のキャッチアップの意欲はすさまじい。更に自動車や電機などこれまで日本の産業を支えてきた技術も新興国からの追い上げが厳しいだけでなく、非正規社員の比重が増えた結果、技術の伝承の土壌が衰え、これまでの高い技術水準を維持することは容易でない。

 観光や農業の投資生産性が高いことに注目するのは良いが、どうすればそこに投資を誘導できるのか。地域の人々の発意や共感との結びつけ方もまだ曖昧(あいまい)で、そのギャップをどう縮めるかが問われている。

 技術の基は人づくりだが、これまでは強いと思いこんできた日本の技術や開発力のこうした危機に対し、振興策について国は産業界と率直にやりとりをし、停滞を打破する必要があろう。(瞬)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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