米企業雇用、改善続く=1月ADP雇用統計
―週末発表の政府雇用統計は2年ぶりに増加か―
【2010年2月4日(木)】 - 大手給与計算代行会社ADP(オートマチック・データ・プロセッシング社)が3日発表した、1月の政府部門を除いた民間部門だけの新規雇用者数(非農業部門)は前月比2万2000人減と、24カ月連続の減少となった。
しかし、減少幅は2008年2月以来約2年ぶりの小幅となっており、前月(昨年12月)の雇用者数も前回発表時の同8万4000人減から、今回の発表で6万1000人減と、2万3000人も上方改定(改善)された。
ADPでは、雇用の減少幅が急速に縮小しているとしているとし、今後もこの縮小傾向が続けば、数カ月以内には民間部門の新規雇用は増加に転じると楽観的な見方だ。
ADP統計をまとめたマクロエコノミック・アドバイザーズも、「全体として、新規雇用者数は明らかに減少から増加に向かって少しずつ前進している」と述べている。
また、この結果を受けて、エコノミストの多くは米労働省が5日に発表する1月の雇用統計では、前月の8万5000人減から1万3000人増へと増加に転じると見ている。
雇用統計は経済活動を反映する重要指標と見られている。今回の統計では雇用市場の改善傾向が改めて確認されたといえそうだ。減少幅は、市場予想の3万人減も下回った。
■政府雇用統計は2年ぶりに増加か
ADP雇用統計は民間部門だけの数値のため、これに政府部門の推定2万人増を加味すると、1月の官民合計の新規雇用者数はほぼ横ばいとなる見込みだ。ただ、一般的に、ADP統計は政府部門の数字が含まれていないので、労働省が発表する政府統計を正確に占うことが出来ないといわれる。
労働省が今週末に発表する1月の新規雇用者数(非農業部門で軍人除く、季節調整済み)の市場予想は、1月の小売り販売が低調だったため、小売業界を中心に人員削減が前月に比べてかなり進んだことから、前月比4万~10万人減になるとの悲観的な見方がある。しかし、大方は1万3000人増と、2年ぶりに増加に転じたとの見方だ。
■1月レイオフ者数、59%増=小売業界中心に
米雇用コンサルティング大手チャレンジャー・グレー・アンド・クリスマスが3日発表したレイオフ統計によると、1月のレイオフ者数は前月比59%増の7万1482人と、昨年7月以来半年ぶりに増加に転じた。ただ、前年比では70%減となっている。
1月のレイオフ者数が急増したのは小売業界で1万6737人が削減されたほか、通信業界でも1万4010人の削減を実施されたのが響いているという。
■製造業、2年ぶり小幅減少=サービス業は2カ月連続増
1月のADP統計で減少幅が縮小したのは、製造業が減少したものの、サービス業が前月に続いて増加を維持したためだ。また、企業規模別で中堅企業が前月比9000人増と、2008年1月以来2年ぶりに増加に転じたことも大きい。
製造業(前月比2万5000人減)と建設業(同3万7000人減)を含めた広義の製造業(財生産業)は前月比6万人減となった。ただ、製造業は2008年1月以来2年ぶりの小幅減少となっている。
また、建設業の雇用減少はこれで36カ月連続の減少となり、2007年1月以降で計180万4000人に達した。また、金融サービス業は1万6000人減となっている。
一方、サービス業は、昨年12月は2008年3月以来1年9カ月ぶりに増加(前月比1万2000人増)に転じたが、1月も同3万8000人増と2カ月連続の増加となった。
企業規模別では、中堅企業(従業員数50-499人)の前月比9000人増(12月は1万6000人減)、小企業(従業員数が50人未満)は同1万2000人減(同1万7000人減)、大企業(従業員数500人以上)も同1万9000人減(同2万8000人減)となったものの、いずれも減少幅は縮小している。
■1月PMIの雇用指数、製造業と非製造業で改善
他方、1日に発表されたISM(サプライマネジメント協会)の1月の製造業PMI(購買部景気指数)は、昨年12月の54.9から58.4に急伸。また、サブ指数の雇用指数も昨年12月の50.2から53.3に改善している。
また、3日に発表された1月のISM非製造業PMIも昨年12月の49.8から50.5に上昇し、市場予想の51.0は下回ったものの、好不況の判断の分かれ目となる50を上回った。雇用指数も昨年12月の43.6から44.6に改善している。(了)
- 米企業雇用、改善続く=1月ADP雇用統計(09:42)
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