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きょうのコラム「時鐘」 2010年2月4日
たびたび漂着するので、珍しい深海魚の名前を覚えてしまった。リュウグウノツカイ。紙面の写真では不格好にしか見えないが、浦島太郎の物語を連想するしゃれた名である
竜宮城へ誘う幸運の使いを名乗るのに、地震の先触れという不吉な言い伝えを持つ。珍しい魚が出現したのなら、吉として喜べばいいのに、凶として警戒した。先人たちは心配性のようである きょうは立春。たまたまの巡り合わせだろうが、剛腕幹事長のカネを巡る事件が大きな節目を迎える。角界を揺るがせる横綱の騒動についても協議が持たれる。この日を境に、疑惑の暗雲から明るい日差しへの交代を強く望むが、北陸に住む者は春はまだまだ遠いことも知る シベリアの寒気は、そう簡単には消えない。冬より身に染みる春の寒さもある。戻り道、寄り道をして春にたどり着く。政治とカネの問題も国技の改革も、これから三寒四温が待つだろう まさかと思うが、竜宮の使いの度重なる出現に、つい玉手箱を連想してしまう。騒ぐだけ騒いで、煙とともに元のもくあみ。似たような結末が、これまでなかったわけではない。 |