【政治】参院選公約も小沢氏主導 民主、政調廃止で一変2010年1月31日 朝刊 民主党が夏の参院選に向けて、マニフェスト作成に本格的に着手した。同党は政権交代後、政策調査会を廃止しており、今回作成の中心になるのは、小沢一郎幹事長ら幹事長室メンバーだ。党の総力を挙げて衆院選マニフェストをつくった野党時代とは、状況が一変している。 民主党は政権交代後、「政策立案の政府への一元化」という原則に基づき党政調を廃止。政権交代に備えて設立されたシンクタンク「公共政策プラットフォーム」(略称プラトン)の事務局も閉鎖され、党側の政策機能は空洞化している。 前政調会長の直嶋正行経済産業相ら、衆院選マニフェストを手掛けた議員の多くが政府入りしたことも踏まえ、鳩山由紀夫首相(党代表)は年明け早々、小沢氏と会談した際、参院選マニフェストを幹事長室主導で作成するよう要請した。 これに基づき、民主党は先の役員会で、細野豪志副幹事長を責任者にした「参院選マニフェスト検討チーム」を設置。松井孝治官房副長官、古川元久内閣府副大臣ら政府側とも連携をとって検討を進める方針だ。「決めるのは党」(党幹部)という前提で、政府に入った議員の知恵も借りたいとしている。 もっとも、こうした態勢で中身の濃いマニフェストを作成できるのか。党幹部によると、小沢氏は「衆院選マニフェストは4年間かけて実現するのだから、参院選で大きな変更は許さない」と指示したという。 衆院選で掲げた工程表の手直し程度にとどめるなら、今の態勢でも対処できるとの判断があるようだ。別の党幹部は「ガソリン税の暫定税率の記述などを直すぐらいではないか」とも推測する。 それでも、単独過半数という目標達成のため、新たな目玉政策を探す必要に迫られる可能性は否定できない。その場合、小沢氏の「独断専行」を心配する声も漏れる。ある中堅議員は「マニフェストまで幹事長室がやるなら、どこまでも小沢さんの思うままになる」とくぎを刺す。 一方で、小沢氏は自らの資金管理団体の政治資金規正法違反事件で苦しい立場に追い込まれている。総指揮官である小沢氏の進退問題の展開次第では、参院選マニフェストへの影響も避けられない。 (荘加卓嗣)
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