安治川親方、退職の意向を撤回

記者会見で退職の意向を撤回することを表明する安治川親方。右は友綱理事

　大相撲の立浪一門で元幕内光法の安治川親方（３６）＝本名峯山賢一、鹿児島県出身、宮城野部屋＝は３日、日本相撲協会の理事選挙（１日）で貴乃花親方（元横綱）に投票したことを理由に協会を退職するとしていた意向を撤回した。同親方は２日、記者会見で退職を表明したが、３日になって一門の友綱理事（元関脇魁輝）から慰留され受け入れた。

　２日深夜の東京都江東区の大嶽部屋での記者会見では「この人なら何かをしてくれると思った」と貴乃花親方への投票理由を説明。一方、「一門という家族の和を乱してしまった。けじめとして相撲協会を退きます」と語っていた。

　当初は３日に退職届を出すつもりだった。しかし、一門の総意を預かった友綱理事と２度にわたって会談。「やめたかったわけではない。ただ責任を取ろうと思って」とした安治川親方に対し、友綱理事が「それなら協会に残って、また勉強し直したらいい」と言葉をかけ翻意させた。ただ安治川親方は「貴乃花親方を支持する気持ちは変わらない」としている。

　同親方は選挙後、落選した立浪一門の大島親方（元大関旭国）を訪れ、貴乃花親方へ投票したことを伝えたという。大島親方は３日「一門というのは家族と一緒。きずなを破れば、そこにいられなくなる」と話した。安治川の年寄名跡は幕内安美錦（伊勢ケ浜部屋）が所有。安治川親方は名跡を借りていたため、大島親方に投票する予定だった。

　理事選挙では立浪一門から友綱親方と大島親方が立候補。同一門は評議員の２０票を確保していたとみられていたが、大島親方は８票しか得られずに落選。貴乃花親方が１０票を得て当選した。

　安治川親方（元幕内光法）「大変、お騒がせして申し訳ありません。一門の親方のご厚意により、協会に残らせていただくことになりました。一門の大切さは分かっている。でも貴乃花親方（元横綱）を支持する気持ちは今でも変わらない」

　友綱理事（元関脇魁輝）「責任を感じて（退職表明という）行動をとったのだと思うが、そういうことをしろと一門で話をしたわけではない。協会、一門、部屋の仕組みを勉強してもらわないと。一門の中で教育していかないといけない」