大相撲の横綱朝青龍(29)=高砂=が知人男性に暴行したとされる問題で、朝青龍は、男性が勤務する東京・六本木のクラブ前で男性から「頑張ってください」と激励されたことに激高した-という情報があることが3日、捜査関係者への取材で分かった。このやりとりがトラブルの発端になった可能性があり、警視庁麻布署は来週以降、男性から事情を聴き詳しい事実関係を調べるとともに、朝青龍も任意で聴取する方向で検討している。
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泥酔横綱は、たった一言の激励の言葉に激高したのか。捜査関係者によると、朝青龍は1月16日未明、クラブで飲酒した後、路上で多数のファンに囲まれたため、知人男性が朝青龍とファンの間に割って入った。
この際、男性が「横綱、頑張ってください」と声を掛けると、朝青龍は「おれに頑張れとは何だ」と怒りだし、男性を自分の車に乗せたという。男性はクラブ近くの路上で車を降り、交通事故処理中の同署員に「車内で朝青龍関に殴られた」と訴えた。
車内の様子について、運転手は麻布署の事情聴取に「2人は言い争っていたが、安全運転のため前を見ていたので、暴行があったかどうかは分からない」と説明した。
また警視庁は同日、男性が被害届を提出しないなどとする示談書が麻布署に提出されたことを明らかにした。
警視庁によると、示談書は1月29日付で、朝青龍側の弁護士が2日、同署に提出。「このたびのことについて許す。被害届を出さない」という趣旨が書かれているが、暴行の事実については触れられていない。朝青龍の代理人と男性のサインや慰謝料の金額も記載されていた。
暴行問題を受け、朝青龍は参加を予定していたこの日の千葉・成田山新勝寺、埼玉県・総願寺での豆まきへの参加を辞退。総願寺によると、1月31日に朝青龍から知人を通じて「いろいろな事情があって参加できない」と連絡があったという。