高木マニア堂

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058:タイガーマスク外伝②~別れの曲は森進一

ノンセクション2010年02月04日 07:09 | フォルダ : 

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  (2007年3月=東スポ携帯サイトより)

 別れは重要な儀式である。別れの寂しさ、悲しさ、厳しさを盛り上げるために一風変わったBGMを使用するというパターンは多い。

「ウルトラセブン」の最終回では、モロボシ・ダンがアンヌ隊員に自らの正体を打ち明けるシーンで、通常の冬木透作曲のBGMではなく、シューマンの「ピアノ協奏曲イ短調作品54」を使用。最終回のムードを一風違うモノとした。

 原作版では、周囲の誰にも正体(伊達直人)を告げることなく、事故で死亡しているタイガーマスクだが、テレビ版では最終回直前で幼なじみであり、互いに淡い恋心を抱く若月ルリ子に、キチンと正体を明かし、熱い抱擁まで交わしている。

 物語はルリ子がタイガー・ザ・グレイト戦で病院送りにされたケン高岡(高岡拳太郎=妹の洋子がちびっこハウスに在籍)の見舞いに訪れたことに始まる。薄々と「タイガー=直人」と気づいていたルリ子だったが、改めて拳太郎の口から、タイガーの正体を聞かされて動揺。死を覚悟してグレイト戦に挑む「タイガー=直人」の身を案ずるのだった。

 それまで恋愛面では奥手も奥手だったルリ子(直人も同様だ)だが、決戦前日、日本プロレス協会のトレーニングセンター駐車場で大胆にもタイガーを待ちぶせして、タイガーのスポーツカー(ガルウイング式)に乗り込む。

「おヒマあります?ちょっとお話が…」と言うルリ子に対し、タイガーは「じゃあ喫茶店にでも?」と返答。ところがルリ子はさらに大胆にも「じゃあ、クラウンホテルまで」と拳太郎から聞きだした直人の居住地を指定するのだった(この時、タイガーは激しい動揺で事故を起こしそうになる)。

 クラウンホテル519号室に入ったタイガーは、ルリ子と向き合うと、自ら虎の仮面を脱ぎ捨て「ハッハハ。これがタイガーマスクがルリ子さんに正体を見せた瞬間だ」と叫ぶ。その瞬間「禁じられた遊び」(スペイン民謡)のギターの調べが鳴り響き、ルリ子は「直人さん」と叫ぶや直人の胸に飛び込み、2人は夕陽に包まれ熱い抱擁を交わすのだった。

 これにて第102話「虎の穴の真相」は終わり、続く第103話「あがく虎の穴」の冒頭で、再び2人の抱擁シーンがリプレイされる。

 だがなぜか? BGMは「禁じられた遊び」から、尺八の音色も艶かしく、場末のスナックから漏れ聴こえてきそうな森進一のド演歌「望郷」(作曲・猪俣公章、作詞・橋本淳)のインスト曲にチェンジ!。さすがに「♪女ごころの故郷は~」と森進一の歌声までは流れないがアニメ作品では特異のBGM効果によって、情感ドロドロムードにガラリ変身(スポットライト演出まで導入されている…)。

 その後もルリ子と直人の最初の別れ(ちびっこハウスの上野動物園遠足で、直人が脱走)の回想シーンでも、繰り返し「望郷」のインストが流され続け、結果的にこれが最後の別れ(直人は最終回でグレイトを倒した後、ルリ子やちびっこハウスの面々と会うことなく日本から旅立つ)となった直人とルリ子を、尺八の音色が包み込むのだった。

 狂い咲きの演出が伝説となっているタイガーマスクの最終回付近だが、菊池俊輔作曲の通常BGMだけでなく「レインボー戦隊ロビン」「サイボーグ009」、東映劇場アニメの「ちびっこレミと名犬カピ」などから多数のBGMを流用。さらに最終回では直人を想うルリ子が、ブランコで「ゴンドラの唄」を口ずさむ黒澤映画(「生きる」の志村喬)ばりの演出があったり、音楽面においても、ただ事ではない演出が続出している。ただただ凄まじいの一言だ。

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高木圭介のプロフィル 昭和44(1969)年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。かつてジャイアント馬場さんも暮らした新丸子の街
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