「三塁戦争」がもう終決!? 新加入の李〓浩(イ・ボムホ)内野手(28)に宮崎春季キャンプ2日目の2日、早くも「一塁兼務」プランが浮上した。晴天で初の屋外練習となったこの日もこだわりを示す三塁守備で真価は発揮できず、秋山幸二監督(47)は「一塁もあるかもしれん」と発言。練習後の緊急個人面談で一塁の準備を通達された李は、グッとこらえてチーム方針に従う姿勢を見せた。
■シートノックで…
練習を締めくくるランニングを終えた李を、メーン球場で指揮官が待っていた。招かれたのは監督・コーチ室。キャンプ2日目にして急きょ、約5分の個人面談だ。秋山監督は「内緒話」としたものの、通訳を介した李の説明では「練習、体のケアとも(チームに)遠慮しないでいい」との内容のほかに「一塁がどういう動きをするか、フォーメーション練習もあるから覚えておいてほしい」と通達があった。
雨上がりの空の下、屋外で本格的なシートノックが行われた。初日に続く松田、オーティズとの競演。「2人とも基本がうまい。ちょっと油断すると負ける」。動き、表情とも硬い李を「まだまだ」と評した秋山監督は「遊撃じゃ無理だな」とバッサリ。「メーンの他に守れるポジションがあった方が助かる。本人にとっても良い。もしかしたら一塁もあるかもしれない」と続けた。
打撃でもアピールに至らなかった。オーティズが58スイングで3連発を含むサク越え11本、松田が49振3発だったのに対し、56振で1発止まり。バスターや右方向狙いなど、ポイントゲッターらしい意図的な打撃を見せたとはいえ、本人も「何カ月ぶりのグラウンドでの打撃で、思ったようにいかなかった」と認める状態だった。
■「帰国発言」は否定
注目の三塁争いで、現実的には一歩も二歩も出遅れた格好だ。来日時の「一塁を守るようなら韓国へ帰る」発言について李は、通訳も一緒になって「韓国のマスコミが大げさに書いた。『外国人として加入して三塁を取れなくては意味がない』ということ」などと釈明。一塁兼務に支障のないことを強調したが、一方で「やったことはあまりない」とも話しており、内野手起用の有効なバリエーションが増えるかは未知数だ。
秋山監督は「まずは動ける体づくり。もともと実績はある」と、14日からの紅白戦にも起用し、競争を続けさせる考えではいる。サブグラウンドで約20分、湯上谷内野守備走塁コーチと1対1の守備練習に臨んだ李は、上体に頼りがちな送球を故障予防の観点からも矯正された。「日本の野球が分かるようになって面白い」。柔和な顔つきそのままの明るさは救いだ。まだ2日目。期待の起爆剤が白旗を掲げたわけではない。 (森 淳)
※〓は「木へん」に「凡」
=2010/02/03付 西日本スポーツ=