最終話について

原案・プロデューサー 畑澤和也


 半年に亘って「千年王国3銃士ヴァニーナイツ」を応援していただいて有り難うございます。「ヴァニーナイツ」は9月17日放映の「わたしだけのアレスト」を以て予定の20話を無事終了しました。最終話についてですが放映終了直後、ホームページに寄せられた抗議と疑問のメールの嵐に驚きました。中には「夢をありがとう」など、嬉しい内容のもあったのですが、殆どが「なぜ?の嵐」(古い)で、本当に怒ってらっしゃる方もいて、「俺の青春を返せ」とまで言われて困惑しているのですが、同時にこんなに真剣に「ヴァニーナイツ」を見てくれている人がいたんだなあと実はとても嬉しかったです。個人的にも「60時間かけてやった大作RPGがバッドエンドを迎えた様な喪失感と虚脱感を感じました」とあるマンガ家の方に言われたり「エヴァンゲリオンの真似をするにしても、もう少し巧くやれ!」と同業者にも怒られたのですが、乱暴にお答えすると「それ」でいいんです。
 ほんの少し言い訳すると、製作状況やストーリー構成が破錠してやむを得ずああなった訳ではなく、みんなで考えに考えてああいう結末になったのです。おざなりでご都合主義的なハッピーエンドにはしたくなかったし、キャラクターやストーリーに皆で真剣に向き合った結果迎えた結末です。そうした結果、皆さんが感じたのが怒りであれ虚脱感であったとしても気持ちが伝わったという事ですからね。どういう風にでも「何か」が残れば、感じてもらえれば、と思っていました。だから「それ」でいいんです。
 製作側の公式発表というより、僕なりの最終回の解説を発表しておきますと・・・ミレニアムセイバーを持たずにエクスカリバーをグランドクロスに掲げた天野喬生はそのエネルギーを吸収しきれずにラージャスの塔と共に崩れ散った。ラージャスゾーンが消え去り、超高層ビルも(ラージャスに支配される前の姿に)復元した。ここまでが現実。ラージャスサイドに取り込まれていた和幸はその意志と自分の希望が入り交じった悪夢としかいいようのない世界を漂っていた。(特に物議を醸し出した一連のこのシーンは和幸の夢です。だからシーンに整合性がないのは当たり前。)・・・ありすの長い長い「告白」の後のキスで和幸は悪夢から目覚めた。一瞬地球全体が和幸とありすたちの意志とミレニアムセイバーの力で浄化され、そしてこの星での使命を終えたアレスト・ホルンとヴァニーナイツの魂は地球を去っていった・・・という事です。あきらやあいりの魂もありすの中で生き続けるのでしょうね。僕的にはそういうストーリーなのですが、何もすべてがこういう事だったという解釈をしなくてもいいと思います。地球が天野とアレスト・ホルンの意志でラージャスの世界になってしまい、ありす達も魔族として蘇った・・・という解釈もアリ。アレスト・ホルンの力で滅びた地球を飛び去って行った光は和幸とありす達だった・・・というのでもアリ。何でもアリです。どうしても双方向メディアになりにくいテレビ番組において、見手側の想像の余地を多くしたかったという事です。
 僕自身、自分で創ったキャラクターには人一倍愛着がありますから、本当は泣かしたり殺したりするのは身を切られる様につらいのです。でも、ありすや和幸、あきらやあいりとも本当に生きた人間として向き合いたかった。本当に生きて、精一杯自分の意志で出来るだけの事をやって消えた命・・・それでもそうしてキャラクターは「生きた」と思うからです。「その後」の僕の想像(妄想?)も永遠に広がっています。例えばこんな風に・・・。ありすと和幸は結婚し、3人の女の子が出来ます。あきら、あいり、愛美と名付けたその子供たちとともに、きっとずっと幸せに暮らすでしょう。そして娘たちの新しい物語も始まるのです・・・。などと色々想像してみてください。これからも「生きた」キャラクターを創っていきたいと思います。

ウインドウを閉じる

(C)テレビ朝日 ケイエスエス レイアップ