会社法はこれでいいのだ(1)
会社法も施行から1年半を経て、実務もかなり落ち着いてきたように思います。
法律を具体的な問題に適用する限り、疑問がなくなることはないので、このブログの質問コーナーには、あいかわらず沢山の質問が寄せられますが、会社の日常業務の範囲内での解釈問題は、ほぼ実務の運用が固まってきたかなという印象です。
会社法は、旧商法と比べて、条文の構造や表現もかなり変わりましたし、一見、同じような条文でも、解釈が大きく変わったところもあります(たとえば、ストック・オプションの決議要件とか)。
会社法の条文や会社法立案担当者が示した解釈についての批判や反対説もようやく文献として目にすることができるようになってきました。
中には、単に「昔は良かった。」という非論理的で懐古趣味のみのものもありますし、論争するに値すると思われる鋭い考え方もあります。
また、会社法の単純ミスを指摘してもらい、他の法律の改正のときの整備でちょこちょこ修正することができ、助かったものもあります。法律的には等価であると思って改正したが、他の法律のことを考えると、等価ではなかったという面を指摘していただいたこともあります。
私は、自分の考え方を批判されるのが大好きであり、批判してくれた方に対しては反論して、活発な議論を通じて、問題点を克服していくプロセスに大きな喜びを感じます。
また、会社法の成立を機会に、従来「常識」とされ根拠なく信じられていた論点を含めて、もう一度の解釈論の構築がされることを大いに期待しています。
そういう期待を込めて、今日は
浜辺陽一郎教授の
「会社法はこれでいいのか」(平凡社新書)
という本をご紹介したいと思います。
この本の中には、沢山の会社法や立案担当者に対する批判が書かれていますが、これから、そのいくつかについて、反論を試みようと思います。
題して「会社法は、これでいいのだ」。
今日は、「地に落ちる株式会社のブランド価値」論の正当性を検証します。
この本の中で、浜辺教授は、
①会社法において最低資本金規制がなくなっり、非常に気軽で浅はかな考えで、十分な財産的裏付けも計画性もないまま会社が設立されるようになる
②ダミーの会社が設立しやすくなり、それが犯罪や執行妨害に利用されるような恐れも高まる
③これまで株式会社には規制があったゆえに、株式会社にブランド価値があったが、これからは株式会社といっても、それを裏付けるブランド価値は会社法からは導かれない
という主張をされています。
これは、本当でしょうか。
私は、間違いであると思います。
浜辺教授が前提としている「最低資本金制度」は平成2年商法改正で導入され、それが完全に実施されていたのは、平成8年から、新事業創出促進法が改正される平成15年までの約7年間しかありません。
たとえば、昭和56年改正商法のもとでは、7人の発起人が5万円ずつ出資すれば、会社が設立できていたわけですが、その時代に「十分な財産的裏付けも計画性もないまま会社が設立」されていたのでしょうか。ダミー会社が沢山設立されていたのでしょうか。
逆に最低資本金制度が採用された後に、そうした会社が設立されていなかったのでしょうか。そのようなダミー会社を作る意思がある人は、見せ金をすることにより、会社を設立するため、最低資本金制度はあまり役に立たなかったのではないでしょうか。
さらに、会社法が成立した後、そのようなダミー会社が増えたのでしょうか。
おそらく、どれも実証的な研究がされていないため、浜辺教授も私も正確に答えをもっていないというのが現実ではないでしょうか。
たとえば、会社の倒産件数は、平成2年時点と比べると、むしろ、それ以降の方が増加し、最低資本金制度を完全に導入した平成8年移行は、飛躍的に倒産が増えています。当然のことながら、倒産と最低資本金制度は無関係です。
また、最低資本金制度の導入により、破産時の配当率が高まったということもありません。
私は、最低資本金制度を導入するのならば、最低1億円以上の出資金で、見せ金をできない厳密な手続きを用意するとともに、資本の欠損が3年以上続いた場合には、解散もしくは別の会社類型(たとえば、有限会社とか)にする等の措置を講じるべきだと思います。個人が、3000万円くらいまでは借りられても、1億円も借りるのは、なかなか難しいですから、1億円にすれば、設立時にスクリーニングができます。また、最低資本金というからには、設立時にハードルを設けるだけではなく、それを維持してこそ、意味があるはずです。
これに対し、300万円とか1000万円とかいう金額の最低資本金制度(しかも、資本の欠損が生じても、解散はさせない)というのは、ハードルとして低すぎて、見せ金によるハードル超えを誘発するだけであり、効果がほとんどないにもかかわらず、理念だけが先走った制度であったと言われても仕方がないと思います。
最低資本金制度の撤廃により、資本金を0円とすることが可能になったことについて、「出資をしたのに、0円というのは理論的におかしい。出資をした以上、必ず出資の足跡が残るはずだ」という趣旨の批判もありますが、旧商法のもとでも、株式の数を減らさないまま減資をすることは認められていましたから、資本金を永続する「出資の足跡」と考えること自体、おかしいわけであり、的外れな批判です。
「規制」は、具体的な効果を得られない限り、行うべきではありません。平成2年当時の立案担当者は、政治的な調整が必要であったため、当初の目標とかなり違ったものになってしまったと反論するかもしれませんが、政治的な妥協で中途半端で効果のない(少なくとも実証されない)規制になったのならば、本来、その規制を設けるべきではありません。
「これだけ議論し、努力してきたのだから、今更止められない」「俺は、俺の理想である株式会社制度を作りたい」という気持ちは分からないではないもの、それが中小企業にとってどれだけ負担になるのかを考えれば、最低資本金制度の導入を見送る勇気をもつべきでした。
しかし、その勇気無く、中途半端な最低資本金制度ができたそのため、結局は、最低資本金制度は、会社法で撤廃されてしまいました。
以上のように、私は、従来の「最低資本金制度」には、設立のハードルを中途半端に上げるだけで、実際上の効果はなく、撤廃して当然であると思いますし、その撤廃による悪影響などないと考えます。
また、会社法によって「株式会社のブランド価値」が下がるという点もおかしいです。
ブランド価値という以上、世間の人が「株式会社」「有限会社」についてどのようなイメージを持つかということだと思います。
浜辺教授が、旧商法時代にあった株式会社のブランド価値を高めていたという「規制」が何かは、明示されていませんが、それが最低資本金制度だとするならば、それは明らかにおかしいでしょう。株式会社のブランド価値は、最低資本金制度導入前から形作られてきたものです。
また、その規制が「取締役会の設置義務」だというのなら、それもおかしい。有限会社は、法律上、取締役会を設置することはできませんでしたが、定款の中には、取締役会をうたっているところも多く、また、一般人は、そのような違いがあることすら、知らないことが多く、その点でブランド価値に違いが生じたとはいえません。
私は、「株式会社というブランド」は、上場企業や大企業が株式会社であるという事実によって成り立っているだけであり、法制度がどのようなものかは、大して影響を与えないと思います。もし法制度によるブランド化を図りたいならば、それに見合う高い設立及び維持のハードルを設けなければ意味がないのです。
他方、私は、そもそも、株式会社をブランド化すること自体には、何の法的意味も見いだせません。上場企業だって倒産するし、株主を害するようなことをやる会社もあります。中小企業だってコンプライアンスのしっかりした安定的企業もあります。会社の大小、まして、資本金の大小によって、ブランド化しようとする法制は、国民に誤ったラッテルを示す「偽装表示」みたいなものです。
結局、「株式会社のブランド価値」が会社法によって落ちるとは思わないとは思いませんし、そもそも、そのようなものを議論すること自体、意味がないというのが私の考えです。
今日のところは、この辺にして続きは次回に。
(質問コーナー)
Q1
いつも楽しく拝見しています。組織再編の債権者保護手続において異議の申出があった場合の債権者を害するおそれがないときとはいかなる判断基準によるのかご教示ください。
投稿 企業戦士 | 2007年12月 1日 (土) 11時41分
A1
判断基準というのは、特にないと思います。すべての債権者に支払いをすることができるならば、害するおそれはないということになります。
Q2
三角合併の際の1株に満たない端数の処理について質問です。
234条では、「次の各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の株式を交付する場合において、・・・」とされていますが、三角合併の場合は当該株式会社の親会社の株式を交付することから、234条に定める端数に応じて金銭を交付する処理はできないのでしょうか。
ご教示ください。
投稿 凸凹 | 2007年12月 1日 (土) 23時38分
A2
234条によっては、できませんが、三角合併契約における対価の内容として、端数についての処理を定めることはできるでしょう。
Q3
いわゆる人的分割(758条8号等)を行う場合,分割会社側で簡易分割の要件を充たす場合は,分割会社の株主総会の承認を省略することができるのでしょうか。改正前商法は物的分割の場合にだけ,分割会社側で簡易が許されたように理解しております。
投稿 悩める49歳 | 2007年12月 2日 (日) 11時30分
A3
簡易分割の要件を満たせば、できます。
Q4
業務執行取締役について質問させてください
会社法363条1項2号の「代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの」は代表行為はできるのですか?
ここに述べられている業務執行行為の範囲が対内的なものに限られているのか対外的なものを含んでいるのかがわからないのですが…
ご教示ください
投稿 かいけいし受験生 | 2007年12月 2日 (日) 23時39分
A4
代表権がなければ、代表行為はできません。
業務執行と代表は、次元の異なる概念です。
Q5
会社法100問297頁の,「議題提出権等の継続保有要件は,いつまで充足していなければならないか」という論点に関する記述についての質問です。
297頁の記載には,「議題提出権は議決権行使のための権利であり,基準日後に株式を売却しても議決権を失うことはないから,株主総会終結時まで保有を強制するのは合理的ではない」とあります。しかし,会社法124条4項は基準日後の売却であっても,譲渡人が承諾している場合には適用される以上,「基準日後に株式を売却しても『譲渡人が承諾をしない限り』議決権を失うことはない(124条4項ただし書参照)」と記載するのが正確ではないでしょうか?
投稿 春夏秋冬 | 2007年12月 3日 (月) 11時10分
A5
単に譲渡人承諾するだけではなく、会社も議決権行使を認めなければならないので、本当に正確に書こうすると面倒くさいですね。
Q6
基準日後・総会前に株式を取得した株主の買取請求について、
ご教示願います。
2007年12月1日 A3
> 合併承認総会の基準日の時点では、適時開示がされているはずで、
> 合併承認がされる可能性があることを知って買った株主に、買取
> 保証をしてあげる必要性はないと思いますので、基準日後の買取
> 請求権の行使については、私は、反対です。
形式的には785条2項1号ロに該当するかと思うのですが、
請求権行使を認めない法律構成はどうお考えでしょうか?
権利濫用とするか、同号の「株主」を基準日現在の株主と解釈するか、
などと考えてみたのですが…。
それから、基準日株主が、基準日後にさらに買い増した場合、
同じ理屈で買い増し部分について買取請求権を認めるべきではない、
と考えてよいのでしょうか?
投稿 msm | 2007年12月 3日 (月) 13時45分
A6
「議決権を行使することができない株主」の解釈問題だと思います。
総会を開催する場合の基準日は、単に議決権の基準日ではなく、株式買取請求権の基準日と解釈すれば、基準日後の株主が、権利を行使することをできないことは説明することができます。
逆に、簡易合併等のように総会を開催しない場合には、基準日が設定されませんので、効力発生日の前日の株主ならば誰でも行使することができます。
Q7
会社法第176条の相続人等に対する売渡しの請求について質問があります。
当該請求の効力発生について、会社法第126条は適用されますでしょうか。126条は、到達主義(民法第97条)の実質的な例外として株主に対する通知・催告といった準法律行為に適用されるものかと思いますが、相続人等に対する売渡しの請求についても適用されるものでしょうか。
また、相続人等は、あくまでも株主ではないということで、直接適用はないとしても、類推適用がなされ、会社法第126条が規定される、若しくは、発信主義がとられると考えられるのでしょうか。
私としては、規定上、明確に発信主義がとられる旨規定されていない以上は、126条の適用、類推適用、発信主義の適用はないと考えております。
投稿 やすーーん | 2007年12月 3日 (月) 17時59分
A7
相続人は、名義書換をすることなく、株主であることを会社に対抗することができます。その反面で、会社から相続人である株主に通知する場合には、126条が適用されます。
Q8
『新・会社法100問』4問目の出資の履行確保のための制度について質問です。
100問では,出資の履行確保を会社債権者保護のためではなく,会社の事業活動と社員間の公正な利益分配の前提となっているという視点を打ち出しておられます。
しかし,設立時における出資の履行の確保について,直接責任を負う場合には,「会社の債権者は,直接社員にその責任を追及すればよいのだから,出資の履行時期は社員や会社の判断に委ねられている。」とされており,なぜか会社債権者保護の視点が導入されており,代わりに社員間の利益分配の前提という視点が欠落しているように思います。
また,間接責任にいたっては,会社の事業活動と社員間の公正な利益分配の前提という視点とはまったく異なった観点から(株式会社の制度設計という視点から?)説明されているような気がします。
会社の事業活動と社員間の公正な利益分配の前提となっているという視点から一貫した説明をすると,どのような説明になるのでしょうか?
特に後者の視点については,具体的なイメージがまったくわきません。それなのに,具体的な解釈にいかされているわけではないので,非常に混乱してしまいます。ご説明を加えていただけませんでしょうか。
投稿 ame | 2007年12月 4日 (火) 08時39分
A8
会社債権者にとっては、有限責任か、無限責任かは、大きな違いですが、直接責任か、間接責任かは、大した問題ではありません。
出資の履行というのは、間接責任を実現するための正当化要素であるという点では、社員の責任と関係していますが(これは、株式会社でも合同会社でも同じです)、会社債権者の保護を強化するという意味はありません。
詳しくは、また機会を改めてお話ししますが、とりあえず、そういう目で読んでください。
Q9
募集株式の発行を第三者割当でする場合、無償で発行するということは可能なのでしょうか。また、株式無償割当において、特定の株主にのみ割当てるというのは可能なのでしょうか。種類株式発行会社の場合とそうでない場合について教えて頂けるとありがたく存じます。
投稿 guavatea | 2007年12月 4日 (火) 09時41分
A9
無償の第三者発行はできません。
株式無償割当も、特定の株主にのみ割り当てることはできません。
特定の種類株式の株主にのみ割り当てることはできます。
Q10
100問のComprehension Test Q1116において、事業の全部譲受けの場合には、合併手続の潜脱防止のため、株主総会の決議及び株式買取請求権の保障が必要とされている、とありますが、他方で、事業の一部の譲受けの場合には、分割手続の潜脱防止のための手続は設けられていないようです。
これはなぜなのでしょうか?
神田先生曰く「会社法が事業の譲受けについては、譲渡の場合と異なり、全部の場合だけを規定し重要な一部の場合を規定していないのは不均衡であるが、むしろ立法論としては、主要諸外国と同様に、事業の譲受けについては総会決議は不要とすべきであろう。」とのことですが、私も、素人考えに、合併手続の潜脱防止というのなら分割手続の潜脱防止も考えるべき(=事業の重要な一部の譲受けの場合にも総会決議を必要とすべき)だし、事業譲受けと吸収分割の差異をいうのなら事業譲受けと吸収合併の差異もいえる(=事業の譲受けについて全面的に総会決議を不要とすべき)ように思います。
何か事業の全部を譲り受ける場合と一部を譲り受ける場合で、異なる規制はありましたでしょうか?
投稿 会社法勉強中 | 2007年12月 4日 (火) 11時37分
A10
事業の全部の譲り受けに、総会決議を要求していること自体がおかしいのですが、伝統というのも侮れない力を持っていると言うことです。
Q11
新株発行差止請求に関して質問させてください。
募集株式の発行に際し、一部の株主に対する招集通知を欠いた株主総会による決議を経ていた場合、差止請求訴訟の前に(あるいは同時に)831条1項1号の株主総会決議取消しの訴えを提起する必要はあるのでしょうか?
それとも、かかる招集手続違反自体が210条1号の法令違反にあたるとして、差止請求だけで足りるのでしょうか?
投稿 taro | 2007年12月 4日 (火) 18時08分
A11
決議取消しの訴えを提起しなくても、差し止めの仮処分を申し立てることはできます。
Q12
新・会社法100問(第2版)の13.預合いについて質問させてください。
この部分を読めば読むほど、なるほど、預合いについては有効説しかないな、という気になってきます。94条2項によって第三者を保護する法律構成も納得です。質問というのは、この94条2項についてなのですが、①「善意の第三者(他の発起人、会社、当該預金債権を差し押さえた善意の債権者等)との関係では」とありますが、他の発起人、会社についても、善意の第三者足りうるのでしょうか。
確かに、ある発起人が勝手に約束をして、他の発起人が迷惑をこうむるということは考えうると思いますが、差押債権者のように、請求権行使場面が想定できません。
まず、会社は預金債権を有しますので、それを直接行使するということが当然に考えられますが、当該会社の債権を行使するのに、「第三者」足りうるのでしょうか?(民法の議論では、代理人が虚偽表示をした場合、本人は「第三者」足りえないとされていると思います。)
また、他の発起人が行使するとすると、代表者として会社の債権を行使することになると思うのですが、この代表者が「第三者」足りうるのでしょうか?(民法上、代理人は「第三者」足りえないと思います。)
また、②94条2項適用という法律構成を用いた場合、基本的に債権者は保護されると考えていいでしょうか?
100問では、会社債権者が当該預金債権を行使することは困難、というような記述が散見されますが、基本的に会社債権者は虚偽の附款について善意であることを考えると、主張・立証の面でそれほど困難ではないように思うのですが。
投稿 旧司法試験受験生の生き残り | 2007年12月 6日 (木) 15時41分
A12
会社債権者が、会社の債権を差し押さえた場合には、第三者に該当すると思います。
Q13
反対株主に対する通知についてお聞きしたいのですが、会社法第785条第3項及び797条第3項において「その株主」とありますが、これは反対株主を指すのでしょうか?例えば、合併の承認の株主総会があり、この株主総会において反対した株主が存在しない場合(議決権を行使できない株主はいない場合)においても総会後、効力発生日の20前までに株主に全員に対して通知を送る必要があるのでしょうか?
投稿 サブマリン | 2007年12月 7日 (金) 15時07分
A13
反対株主ではなく、全株主です。確かに反対株主が存在しない場合には無駄なようにも思いますが、法律上、例外が置かれていないので、通知はせざるをえません。
Q14
合併についての株券提供公告について質問です。
219条では合併の際に株券提供公告をしなければならない旨規定されていますが,これは消滅会社が存続会社の完全子会社でもしなければならないのでしょうか?
なんだかとても無意味な公告をしなければいけないような気がします・・・
通知で足りると思うのですが,かかる公告は必要でしょうか?
また,仮に公告するとして,この公告は債権者保護手続の公告と同時に行うのはアリでしょうか?
投稿 匿名な人 | 2007年12月 7日 (金) 17時20分
A14
株券発行会社である以上、株券提供公告はやむをえないですね。
公告を兼ねることは可能でしょう。
Q15
会計監査人の解任請求が株主提案権の行使によりなされた場合についてお伺いします。
通常、取締役が会計監査人の解任請求をした場合は、監査役の同意を得ることが必要ですが(会社法334条1項2号)、株主提案権の行使(303条1項)によりなされた場合にも、やはり監査役の同意がなければ解任を株主総会の目的とすることはできないのでしょうか。334条1項2号の趣旨が取締役から監査部門の独立性を守ることであるとすれば、株主提案による場合には監査役の同意は必要ないとも思えますが、条文の文言上からは、やはり同意が必要であるようにも思えます。
この点について判断がつかず、株主提案権の行使による会計監査人の解任請求を株主総会招集通知に記載すべきか迷っています。ご教示いただければ幸いです。
投稿 rm | 2007年12月 7日 (金) 17時28分
A15
あまり考えたことのない問題ですが、議題にせざるをえないのではないでしょうか。
Q16
「違法な剰余金配当の効力」の有効説に対する批判について質問します。
有効説に対する弥永先生の批判として、
「自己株式の取得が有効であるとすれば、譲渡人である株主が会社に対して株式の交付を請求する自然な法的構成が考えにくくなり問題が残る」とあります。
この意味が全く理解できません。どういうシチュエーションが想定されているのでしょうか?
あと、葉玉先生の「会社法100」問を問題集として学習しているのですが、
たちかえる基本書としては、どれが、一番使いやすいのかをご教示ください。
投稿 新司受験生 | 2007年12月 9日 (日) 14時10分
A16
株主が会社に対して代金相当額を返還した場合に、株式を返してもらう根拠があるかということでしょう。私は、代位という自然な法的構成があると思いますが。
基本書は、なんでもよいのではないでしょうか。
Q17
さて,会社法上の仮処分の実効性について質問させていただきたく思います。
会社法上の差止請求権として,①取締役の違法行為差止請求権(360条)と②新株発行差止請求権(210条)等があります。この差止仮処分違反の行為の効力として,②については,最高裁平成5年12月16日判決が無効説をとることを明らかにし,実務的にも無効説が確立したものとされているようです。
<Question1>では,①取締役の違法行為差止仮処分違反の行為の効力についても,②と同様,仮処分の実効性を図るために無効と考えられているのでしょうか?
ある文献では,①については,民事保全法58条1項が不動産の登記請求権保全のための処分禁止の仮処分つき,当該仮処分の登記がなされた場合に限って,これに抵触する限度で後になされた行為は債権者に対抗することができないとしていること等から,不作為を命じる仮処分について登記等による公示がなされない限り,原則として第三者には対抗することができないものとしています。(同文献では,②については,最高裁の無効説を承認しています。)
しかし,②について無効説をとるのであれば,①についても無効説をとるのが素直かと思いますが,
<Question2>両者で,制度上,扱いを異にしてよい合理的差異というものは存在しますか?
投稿 めんも | 2007年12月 9日 (日) 22時10分
A17
① 取締役の違法行為差し止め仮処分に違反しても、その行為は、有効です。100問にも記載があります。
② 名宛人が違います。取締役を名宛人としていうのに、会社の行為を無効にするのは困難です。
Q18
設立中の会社の権利能力を認めるのに民訴29条を適用する理論に関して先生の肯否とご意見あればお伺いしたいと思います。
抽象的ですが宜しくお願いします。
投稿 七誌のゼミ生 | 2007年12月11日 (火) 14時44分
A18
設立中の会社には、権利能力はありません。これは、明らかです。
Q19
剰余金分配請求についての質問です。
仮に、出資にあたって剰余金分配を望まない者がいるとします。この場合、この意向を反映させる手段として属人的種類株式(会社法109条2項)が考えらると思いますが、会社法108条1項1号の種類株式としても発行は可能なのでしょうか?通常、教科書などで同条同号で発行することができる例として、優先株又は劣後株が挙げられているのですが、無配当株についての記述を見たことがありません。しかし、会社法105条2項も踏まえ考えれば、条文上は可能だと思うのですが、間違いでしょうか?
投稿 受験生です。 | 2007年12月11日 (火) 21時30分
A19
無配当株式も設計可能です。
Q20
役員退職慰労金についてのご質問です。
解散決議をおこない清算業務中の会社において、株主総会で決議をすれば、元取締役の役員退職慰労金の名目で支払いは可能でしょうか?
またその法的根拠は、会社法361条(取締役の報酬等)482条ということになるのでしょうか。
解散決議の際に、退職慰労金に関する決議をするのが普通という話を社内の関連部署から聞いたので、お伺いする次第です。
投稿 ちょろまつ | 2007年12月11日 (火) 23時55分
A20
可能でしょう。
Q21
私は来年からロースクールの既習に進学する予定なのですが、現状のレベルからして、三振のリスクを考えても、来年旧試験にチャレンジする価値は高いのではないかと考えています。
来年から合格者200人と減少する旧試験に挑むことは無謀でしょうか?それともリスクをとっても挑む価値のあるものでしょうか?
葉玉先生の意見を聞かせてください。
投稿 ヨムヨム君 | 2007年12月12日 (水) 00時54分
A21
200人も通るなら、受けていいんじゃないでしょうか。
Q22
新株予約権の取得条項について質問させてください。
たとえば「退職したときは無償で新株予約権を取得することができる」との取得条項がある場合、これは236条1項7号のイ・ロのどちらの定めとみるべきでしょうか?
会社法の施行に伴い、「消却できる」という消却事由を「取得できる」という取得事由に引き直して登記がされている例が多く見られますが、このような「取得できる」という定めは会社法が予定している取得事由の定め方ではないように思います。
そのため、このような「できる」条項については、会社法の規定に則して、その性質を決定する作業が必要になると考えます。
私見では、「できる」条項は、236条1項7号ロ(及び規定振りによってはハ)の定めをしたものと解すべきであり、これに基づく取得は、273条の規定に従って行うことになると考えますが、いかがでしょうか?
旧法では、消却には常に取締役会の決議が必要であったわけですから、これを「取得できる」と引きなおした場合でも、取締役会の決議がなければ取得できないと解するのが自然であると考えますし、仮に「できる」条項が236条1項7号イの定めと解すると、取得事由が生じた場合には自動的に取得されることとなり、多くの場合、そのような条項を設けた会社の意思に反するような気がします。
なお、以上のことは、会社法施行後に発行された新株予約権に「できる」条項が付されている場合にも同様に妥当すると考えますが、いかがでしょうか?
投稿 water | 2007年12月12日 (水) 13時19分
A22
解釈問題ですが、そのような解釈でいいと思います。
Q23
会社法100問(第2版)、61問について質問があり、メールさせていただきました。
61問目347p小問(1)1販売行為の差し止めについて(一)で、
解答例では、「委任契約の内容として、取締役は競業避止義務を負っており、取締役がこの義務に違反する場合には、会社に損害が発生するおそれがあるか否かにかかわらず、会社は、当該委任契約上の義務の履行として当該取締役に対して、競業行為の差止を求めることができる。」とされています。
そこで、質問なのですが、
①この場合に会社を代表して差し止めを求めることができるのは、誰なのでしょうか。この場合も、386条、408条と同じく(353条・364条については省略します)、監査役設置会社は、監査役、委員会設置会社は監査委員、それ以外の会社は代表取締役(353条・364条については省略します)なのでしょうか?
②仮に、386条、408条と同じだとした場合に、たとえば、監査役が、競業行為の差止を求める場合(385条)との関係は、どうなるのでしょうか?
③①に関連しますが、ここにいう「それ以外の会社」は、委員会設置会社でない取締役会で、かつ、公開会社でない会計参与設置会社だけではないでしょうか?理由は、解答例が、取締役会設置会社であることを前提にかかれていること、327条2項です。
④③に関連しますが、この問題は、「株式会社A」としか書かれていないので、厳密に言えば、解答例のように取締役会設置会社に限定せず、非取締役会設置会社の場合についても、考えたほうがよいのでしょうか?
以上よろしくお願いします。
投稿 ロー生、T。 | 2007年12月14日 (金) 12時22分
A23
① 監査役等でしょう。
② 385条は、どんな法律に違反する場合も含む一般的規定です。委任契約に基づくものは、委任契約で定めたものだけです。
③④ そうですね。
Q24
譲渡制限のついた株式の譲渡担保設定の効力について質問させてください。
譲渡制限株式を譲渡担保に供する場合も取締役会の承認を要するのか,という論点について,従来は不要説が有力であったようです。これに対し,最判昭和48年6月14日は,譲渡担保設定は株式の譲渡にあたると解すべきとしています。
株券発行会社においては,会社の承認を得なくても第三者対抗要件を具備できるわけですから,譲渡担保を実行するまでは会社の承認を得る必要はない以上,譲渡担保設定を株式の譲渡にあたると解しても当事者間の目的は達成できたのだと思います。
しかし,会社法下の株券不発行会社においては,名義書換え及びその前提として会社の承認を得なければ,第三者対抗要件も具備することができません。
そうだとすると,譲渡担保を設定しても,その後第三者に譲渡され会社の承認がなされた場合には,譲渡担保権者は譲渡担保を設定した意味がなくなるため,目的を達成しえなくなると思います(損害賠償請求権は,担保権を実行するにいたった譲渡担保権設定者との関係においては無力)。
とすると,会社法下では,株式の譲渡担保はどのように行われることが想定されているのでしょうか。
譲渡担保に際して設定者に会社の承認を得ることを要求しているのでしょうか。
それとも,譲渡担保自体が廃れてしまったのでしょうか。
それとも,何か理解に誤りがあるのでしょうか。
投稿 旧司法試験受験生 | 2007年12月14日 (金) 12時56分
A24
会社法というより、株券不発行会社における譲渡担保ということですよね。
その場合は、登録譲渡担保でなければ、第三者に対抗できないので、事実上、譲渡担保は使いにくいでしょう。また、会社側が「譲渡担保」であると言われたからといって、承諾なしに名義書換に応じることはできません。議決権を行使することができるようになるので。結局、「譲渡担保に承諾は不要」という結論自体は、あまり意味がないのです。
Q25
百問の第29問で,847条で株主に継続保有要件を課しているのは,事後株付け防止の観点からと説明されていますが,株主代表訴訟は,行為時に株主でなくても提起されていると解されており(最高裁平成5年9月9日第一小法廷判決参照),また株主総会決議取消の訴えのように期間制限もないため,6か月の継続保有要件を課したところで,6か月経過後に訴えを提起すればよいため,実際に事後株付け防止策になっていないのではないでしょうか。
それとも,無策よりはまし,という感覚なのでしょうか。
投稿 旧司法試験受験生 | 2007年12月14日 (金) 17時28分
A25
無策よりはましで。
Q26
妻子持ち社会人旧試験受験生です。
合併と名板貸しのあいのこのような事例で質問させてください。
吸収合併後(登記後)、引き続き消滅会社の名前で行われた行為について、取引の相手方は存続会社に対し責任を問うことができるのでしょうか?できるとしてその法律構成をどのように整理すべきでしょうか?
それとも、合併登記後は、消滅した会社の名称を使用してなされた取引自体が7条に反し無効となるのでしょうか?
例、A社がB社に吸収合併された後、①消滅会社A社の代取甲が引続きA社代取甲としてC社に注文を出していた場合、存続会社B社はその代金支払債務を否認できるか。
②合併前のA社の債務の代金を、C社がA社代取甲名義の銀行口座に対して支払った場合、B社はその弁済を否認することができるか。
①Bが商品を受領していれば、甲に旧商号の使用を許諾していたと看做し、会社法9条を類推して、自己の(吸収した旧会社Aの)商号を使用して事業を行うことを甲に許諾したBは、自己と誤認して取引した相手方C社に対し、甲と連帯して債務を弁済する責任を負うと解して宜しいでしょうか?
Bが商品を受領していなければ、民法113条の無権代理としてBの追認がない限り無効と解すべきでしょうか?
②の場合については、合併の効果としてAの預金口座は全てBに当然承継されている(会社法2条)はずなので、BはCの弁済を否認することはできないと解して宜しいでしょうか?
以上、机上の空論のようなレベルの低い質問で恐縮ですが、ご教示いただけますようお願い申し上げます。
投稿 おとうちゃん | 2007年12月15日 (土) 00時22分
A26
①「A社」という表示がB社のために行うことを示しているのならば、単なる無権代表の問題です。B社が商品を受領すれば、追認でしょう。
「A社」という表示が消滅したA社のため、ということを示しているのならば、B社は責任を負わないでしょう。A社の消滅を対抗できますし。
② そうでしょう。
Q27
受賞おめでとうございます。と素直に言いたいのですが、入門編(100問の解説)の更新もお願いできませんでしょうか。11月5日以降ストップしていると思います。お忙しくて出来ないようであればその旨も発表していただければと。
投稿 熟読者 | 2007年12月16日 (日) 02時43分
A27
入門編のご希望があることは承知していますし、やろうという意思もあるのですが、申し訳ありません。
| 固定リンク
コメント
会社法弁護士:最低資本金は債権者保護に不十分だ!
ワーキングプア:欧州諸国のように最低資本金+最低資産維持(300万円ではなく最低資本金の1/2とか)もありますけど・・・・・・
会社法弁護士:従来の最低資本金制度は無意味だ!
ワーキングプア:撤廃と充実のどちらが適切であるかを議論してください。ああ、ごめんなさい、バカウヨアメリカ会社法の資本金軽視の方向性しか、当局に選択肢がなかったのですよね・・・・・・・
会社法弁護士:破産配当率に差はない!
ワーキングプア:昭和50年代まで50%程度だったのが、最近は10%未満です。会社法と関係が薄いというよりも、原因が先にあって、最近の会社法改正はその影響を受けていると理解できます。
会社法弁護士:1000万円ではダメで、1億円ならいい!
ワーキングプア:かなり実証的な根拠の乏しい議論ですよね。
会社法弁護士:株式会社にブランド価値は不要だ!
ワーキングプア:ブランド価値の問題は、ビジネス弁護士間だけの矮小瑣末な議論です。会社の債務超過時点における、事業継続性(=雇用安定に多少は貢献)と債権者保護をどう考えるかを、ご検討願います。
小規模会社の場合、債務者は取引先で、資金の貸し手は金融機関と親族であることが一般的です。金融機関や大規模取引先は、地位の優越性から担保を取るのが一般的であり、破綻時には小規模取引先と親族が泣かされることが多いでしょう。
(データは知りませんが、会社実務に携わった人には自明なことです。)
個人的には、破綻会社の事業と従業員を保護する政策を、取引法(会社法や民事再生法)で解決するアメリカ的なアプローチよりも、会社を倒産させた上で一定の破産配当率を維持するとともに労働法で雇用者を保護するヨーロッパ的なアプローチのほうが良いと思います。
(どちらが良いかを現時点で実証するのは難しいでしょう。ただし、事業性の乏しい会社を、一度借金を棒引きしてから再生させることが国民経済的に意味があるのかを、もう少し考える必要があります。)
投稿: 間違いだったのは誰でしょうか? | 2007年12月18日 (火) 14時12分
自分のブログで小ネタとして書こうと思っていたのですが、ちょうど良い機会ですので、質問させて下さい。
浜辺弁護士の本に、最近の法改正で資本金の減少が簡単にできるようになったため、大会社の法規制を免れようとして、資本減少を行う会社が出てきている、との問題提起があったと思います(82頁)。今後の立法論として、大会社の定義を資本金によってではなく他の基準(たとえば資産総額など)によって行うべきかと思いますが、いかがでしょうか?
投稿: 大杉謙一 | 2007年12月18日 (火) 14時28分
http://www.shinenet.ne.jp/~kikuchi/bengoshiron/bengoshiron07.htm
7.破綻企業の問題点
和議法であれ、民事再生法であれ、企業が資本構成を変えず、基本的には役員変更もしない企業再生のための法律の下では、破綻に瀕した企業の問題点を解決できるものではない、と思う。もともと利益のでない企業は民事再生の申立をしたからといって、利益の出る企業に変貌するわけではない。利益のでない会社は、民事再生法で債務を仮に100%免除(現実にはあり得ないことだが)してもらっても、やっていけないのである。
民事再生法は、利益の出る企業が一時的に資金不足に陥ったときに支払を待ってもらう場合か、営業利益は恒常的に稼ぎ出しうるが、金融機関に対する利息債務の支払があるため、恒常的に経常損失が出る会社が、利息の支払を減らし経常利益を出しうる体質に変えるため、金融機関に対する債務を減額してもらう必要がある場合など限られた場合にしか、利用できないのではないかと思われる。
8.民事再生会社の破綻
統計的な数字は知らないが、民事再生の申立をし、再生計画が認可された多くの会社が、再生債権の弁済を始める前に、会社経営ができなくなり、破産宣告を受けている。民事再生法が経営の危機に瀕した企業にとって福音になっているといえる状況でないことは、間違いない。
>>>>>>>>>>>>
同じようなことを考える人は、どこにでもいるようです。
投稿: 少し考えれば誰でも分かりそうなこと | 2007年12月18日 (火) 16時00分
質問じゃなくて二つ↑のコメントに対してのコメント
資産総額は手続きなしで流動的に増減するものじゃないですか?
投稿: 九死受験生 | 2007年12月19日 (水) 01時02分
民間人:会計監査や内部統制監査で、粉飾決算を防げるのかな?
ワーキングプア:会計記録と根拠証憑の整合性を検証する監査技法では、証憑と事実の一致まで検証できません。
民間人:事実との一致を検証できるのかな?
ワーキングプア:連結売上高1,000億円の会社なら、単純計算で、1件1,000万円の販売取引が1万件、その原料費300億円について1件1,000万円の購買取引が3,000件発生します。
民間人:全ての取引を、事実に遡って検証することは効率性の面で不可能だし、1/25件のサンプリングで不正取引を摘発するのも難しいかな?
ワーキングプア:公認会計士試験が全科目0点でも、会計監査で粉飾決算を摘発できないことが理解できます。
民間人:金融庁の統合リスク管理は、サブプライム問題の損害未然防止に役に立たなかった。
ワーキングプア:会社の機関構成を、社外取締役+委員会設置型にしても、エンロンやワールドコムで証明されたとおり、粉飾決算を防止できません。
民間人:金融庁、弁護士、公認会計士のやっていることって、社会的な実効性があまりにも乏しいな。
ワーキングプア:これらの人たちの給料は、我々ワーキングプアと同様に年収300万円以下で十分です。
http://www.magazine9.jp/karin/071212/071212.php
今年を一言で言い表わすならば、「ワーキングプアの反撃」の1年だった。
投稿: ワーキングプアもこれでいいのだ! | 2007年12月19日 (水) 07時41分
会計士は、在庫の実地棚卸を考えたことがあるかな?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20071210/142801/
民間人:簡単な設例、連結売上高100億円の上場会社で考えてみよう。商品在庫はどれくらいあるだろうか?
ワーキングプア:商品回転率が比較的に良い会社なら、在庫2週間分=14日分として100億円×14/365=4億円ですね。
民間人:商品が1個1万円なら、在庫は4万個だけど、どれくらいの時間がかかるのだろうか?
ワーキングプア:減耗度を確認して評価することが必要なことを考慮すれば、1個=5分としてみましょう。4万個×5分÷60分×2人=6,600時間・人です。(在庫カウントを2人でやるのが一般的)
民間人:監査の実証性テストでは、例えば残高確認で総額の70%カバーで良いとする文献がある。(監査ケーススタディ 税務経理協会)
ワーキングプア:実証性テストに必要なのは6,600×0.7=4600時間・人です。
民間人:連結売上高100億円なら、従業員は100~300名くらいだろう。在庫管理には、どれくらいの人がいるのかな?
ワーキングプア:在庫管理や物流管理の担当者は、せいぜい全従業員の1割ですから、30名です。
民間人:30人で、4600時間が必要になる。1人当たり150時間になるから、昼夜継続で1週間も実地棚卸を続けなければならない。実際には、期末日の翌日から出荷はあるから、在庫数量は変動する。
ワーキングプア:会計監査とは、「できない」ことを「やったことにする」論理を言います。
投稿: 君は在庫の実地棚卸を考えたことがあるかな? | 2007年12月19日 (水) 11時10分
棚卸減耗って、数量が減ったことだろ!
商品有高帳の数量よりも棚卸で得られた数量が少ないことを棚卸減耗といいます。棚卸減耗数量に、商品有高帳から得られた単価を掛けた金額を、棚卸減耗費または棚卸減耗損といいます。
また商品の劣化や陳腐化による価値の減少を棚卸評価損といいます。
投稿: ぷぷぷ | 2007年12月19日 (水) 11時50分
いつも楽しく拝見しております。
また、一度研修でお話伺いましたが、とても楽しかったです。ありがとうございました。
ところで、定款変更についてお聞きしてよろしいでしょうか。
会社法には、いくつか「変更後の定款に規定があるものとみなされる」規定があるかと思います。
(取締役会・監査役設置とか、監査役の権限限定とか)
大々的に見直しをした場合は、こういった規定は盛り込むべきと思いますし、抜けていればそういった規定は削除したものと考えてよいと思います。
が、定款のうちほんの一部だけ手直しをしたような場合(事業年度を変更するとか)に、こういったみなし規定を盛り込まなかった場合、今までみなされていた規定は一律削除されたものと考えられてしまうのでしょうか。
くだらないことですが、ご教授いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
投稿: うめKITTY | 2007年12月19日 (水) 14時09分
Q26の質問をさせて頂いた妻子持ち社会人旧試験受験生です。
初歩的な質問にもかかわらずご丁寧にご回答頂き有難うございました。
複雑に考えすぎて深みにはまっていたことがよく判りました。
私なんぞより何十倍もお忙しいのに、このブログを続けておられる先生のご姿勢には、頭が下がるとともに我が身を振り返り、励みにさせて頂いております。
今後のご活躍をお祈りしております。
投稿: おとうちゃん | 2007年12月20日 (木) 00時51分
会社法は、やっぱりダメだこりゃ(1)
前略
各種の受賞、ご表彰、本当におめでとうございます。
はじめて投稿します浜辺陽一郎と申します(実名登場)。昨日、うまくできていなかったようなので、再チャレンジしている次第です。
さて、年末のクソ忙しい時に、誠に光栄にも、葉玉先生のブログにおいて、拙著を取り上げていただき、ありがとうございました。おかげさまでロースクールの学生からも、心配の(?)声が寄せられて、拝見しました。葉玉先生の影響力は早稲田ロースクール生にも広く及んでいるようで、大変な脅威です。
クライアントから頼まれている弁護士業務やら、ロースクールの授業準備(しかも今週22日には法曹技法をめぐる大学のシンポジウムもあって、私も国際M&Aの授業について報告しなければなりません。)に加えて、今週は忘年会も多く(今も事務所忘年会から帰ってきたところ)で、しかも山のようなゲラ・チェックとか原稿締め切り等に追いまくられて、時間がほとんど取れない状況なので、それどころではないのですが、とりあえず簡単なコメントくらい早く出してほしいとの早稲田ロー生の要望も、(ごく一部ではありますが、)あるようなので、簡単にコメントできる範囲で再反論を試みさせていただきます。
なお、本来ならば、私も立派なブログのサイトでもあればいいのですが、残念ながら、忙しくてそこまでの余裕はなく、相手方敵地に乗り込む「遠征」みたいなものになりますので、あんまり気持ちの良いものではありません。外国で訴訟を起こす日本企業のような、まあ多少の差別も覚悟しながら、ということになるかもしれませんが、私の反論は、
題して「会社法は、やっぱりダメだこりゃ」
ということになります。
もっとも、私の元の本「会社法はこれでいいのか」は全面否定ではなく、積極的に評価している部分や、これからの建設的な努力によって、良い方向にしていく期待の可能性も込めていますので、部分的には「これでいいのです」と書いているつもりですが、とりあえず、ダメなところも一括りで「問題ない」ものにされてしまっては困るので、ごく簡単に再反論をするという趣旨です。
まず12月18日掲載分についてですが、
「①会社法において最低資本金規制がなくなり、非常に気軽で浅はかな考えで、十分な財産的裏付けも計画性もないまま会社が設立されるようになる
②ダミーの会社が設立しやすくなり、それが犯罪や執行妨害に利用されるような恐れも高まる
③これまで株式会社には規制があったゆえに、株式会社にブランド価値があったが、これからは株式会社といっても、それを裏付けるブランド価値は会社法からは導かれない」という主張は、「間違い」と断言しております。
その理由として、第一に、「ダミー会社が沢山設立されていないのではないか。会社法が成立した後、そのようなダミー会社が増えたとの実証的数字に裏付けられていない」というものです。
しかし、この点は、「増えていなければ良い」という話ではありません。私が指摘したかったのは、「そういう設立が可能になり、より容易になる」「だから皆さん、注意しましょう」と言いたかったのが一つ。
むしろ根本的に問題なのは、会社法全体を通して問題なのは、「多数派がよければそれで良し」という少数者、弱者切捨ての論理です。つまり、「そんなダミー会社が沢山できたら、問題だが、数が少なければいいじゃないか」という発想です。私は数が少なくても、それによって不都合な事態が起きたり、場合によっては不正がまかり通ったり、許されたり、野放しになったり、被害にあう人がいたりということを問題としているのであって、件数が全体で何件以下ならOKとかいった議論ではないのです。
第二に、会社の倒産と最低資本金制度は無関係という話は、本書25ページにも既に書いてあるとおり、分かっております。それは世界的に、そういう論理で進んでいることも承知しております。
ただ、だからといって、「最低1億円以上の出資金で、見せ金をできない厳密な手続きを用意するとともに、資本の欠損が3年以上続いた場合には、解散もしくは別の会社類型(たとえば、有限会社とか)にする等の措置を講じる」などというのは、非現実的なもので、これまた逆に異常な規制だと思いますが、問題なのは、こうした制度が、全体にどのような影響を及ぼすかという視点です。それは本書25ページ前後で指摘しておりますので、ここでは繰り返しません。
第三に、「規制」は、具体的な効果を得られない限り、行うべきではない、との主張ですが、こんな方針でしか立法できないとなれば、社会的に必要な規制(とりわけ弱者保護とか、不公正の是正といった問題を克服するための政策課題)はいつまでたってもできないという弊害が生じるだろう、とだけ申し上げておきたいと思います。
かつての最低資本金制度が中途半端なものであったかどうかは難しい問題ですが、どんな規制もどこかで線引きする妥協が必要なことはあるわけで、それが経済社会の現実であったということは考慮する必要があるでしょう。
次に、会社法によって「株式会社のブランド価値」が下がるという点も「おかしい」と、ここでもまた、断言されます。
本書でいう旧商法時代にあった株式会社のブランド価値については、会社法の細かい制度を詳しく論じる余裕がなく、今も忙しいので略しますが、簡単には本書20ページに示唆しているとおりです。もとより、ブランドとは、他の銘柄と異なる明確な差別性があることとか、ある銘柄に対して社会や消費者が抱いている印象ですが、それに加えて、株式会社を名乗って、有限責任のメリットを享受するための基礎としてのあるべき姿として、何が必要なのかが明らかにされる必要はないのでしょうか。
私の理解では、葉玉先生もご指摘のとおり、株式会社のブランド価値とは、最低資本金制度導入前から形作られてきた規制を受けている総体であって、もともと公開会社のイメージの「株式会社」ブランドです。
それが、むしろ「法人成り」が横行して、現実には株式会社もかなり庶民的ブランドになっていたわけですが、それでも、法令を遵守するのは大変であるし、株式会社を名乗りながら、現実に法令をクリアーしていない人々は後ろめたさもあったわけです。ところが、今回の会社法は、もう恥も外聞もなく、「どうだ、立派な株式会社だ。もう文句はないだろう」と誰でも言えるようになってしまって、「法人成り」を追認する立法でした。果たして、それが良かったのだろうかという問題提起であったわけです。
つまり「株式会社というブランド」は、上場企業や大企業が株式会社であるという事実のみならず、今までの歴史や人々の考え方によって形作られるものであり、これに法制度も一定の影響を与えるだろうという考えです。
だからといって、「法制度だけによるブランド化」までは必要もないけれども、相対立する要請を、どのように調整をするのかが、本来、立法担当者が整理すべき作業であったのではなかったのではないのか。それをしないで、拙速にとりあえず何か壊して、何も残っていないじゃないか、といっているわけです。
もちろん、「資本金の大小だけでブランド化しようとする法制は、国民に誤ったラッテル(レッテル?)を示す「偽装表示」みたいなものだ」というのは、その通りです。これに異論はありません。しかし、重要なのは総合的な組み合わせがどうなるかであって、これだけで議論しても、十分ではないだろう、ということです。
結局、「株式会社のブランド価値」の問題は、会社法によって混乱が生じたということであって、それは有限会社との間で逆転現象が生じて、国民が誤解しやすくなっているのではないか、ということです(本書18ページ以下)。
もちろん、このブログを見に来ているようなレベルの高い人たちには、関係のないことでしょう。しかし、世の中には、法的なリテラシーの低い人たちがまだまだ沢山いるわけで、そういう現実に向き合って、もっと深く考えてほしかったというのが、本書の趣旨であったわけです。
法が浸透するには時間がかかるものです。会社法などはまさにそうで、商法ですら、なかなか浸透していなかったもので、国民はなかなかついてきておりません。もちろん法改正が早すぎるだけでダメとはいいません(時にはドラスティックな改革も、私は支持したいと思います)。しかし、その方向性、政策の正当性・合理性・必要性が総合的に判断されるべきだと思います。
一見すると、最低資本金廃止は、お金のない人でも会社ができるから、弱者保護の規制緩和のように見えます。
しかし、現実には、善良な市民は、身の丈にあったビジネスをしますが、悪い人間もいるわけで、悪い人間にとっては、会社法の今回の規制撤廃は「大きな穴」として、悪用される材料を作ったことにはなっているのです。会社法直前にあった「確認の制度」を一般化してしまったことにより、誰もチェックしないで、何でもできてしまう。
現在、佐世保で銃を持っていた者を規制できない現行規制のあり方に批判が集まりつつありますが、会社法は銃規制ほど分かりやすくないので、国民世論は沸騰しませんが、構造的には似ているように思います。結局のところ、そうした悪い人間の餌食になる「法的弱者」が会社法の犠牲者となるわけですが、「お上の法律には間違いはない」という、(もちろん、そんなことは誤りなのですが)、現実にはそういうナイーブな考えの人たちも多いことを為政者は十分に踏まえて規制を構築していくことが必要だと思うのです。(もちろん、旧商法でも犠牲者はおりました。銃規制をしたって、殺人はなくならない。ナイフでも殺人はできる。だから銃規制は不要だという全米ライフル協会みたいな主張(ここのところ、分かりやすく誇張してます)が、「最低資本金規制は不要だ」という議論のように聞こえるのです。)
そうした意味において、「そもそも、そのようなものを議論すること自体、意味がない」というのは、結局、エリート官僚による「弱者切り捨て」の横暴な論理にほかならない、というのが私の考えです。
おっと、書きすぎてしまいました。これから正月も返上で働かなければならないし、家庭も楽ではないので、どれだけ議論できるかどうか。当分「音沙汰なし」となっても、それは忙しくて時間がないためで、またいつ書けるか分かりませんが、またどういう議論が出てくるか分かりませんが、お手柔らかにお願いできればと思います。
投稿: 浜辺陽一郎 | 2007年12月20日 (木) 15時11分
「そういう設立が可能になり、より容易になる」「だから皆さん、注意しましょう」と言いたかったのが一つ。
>>>>>>>>>>>>>>>>
http://www15.ocn.ne.jp/~eclipce/akutoku1.html
◎取り込み詐欺
休眠会社などを使って、最初は現金で商品を仕入れて信用をつける。徐々に信用がついてきたら、クズ手形をつかまして、商品をバッタ屋に流して後は知らん顔。
⇒詐欺商法に「株式会社」が利用されることは、過去も現在も将来も、数え切れないほどたくさん存在するはずです。
http://tuf.co.jp/i/news/mori/0712/07121010.htm
水谷建設の土地取引をめぐる脱税事件です。水谷建設は、休眠状態の不動産会社を仲介させる手口で、8億円で土地を買ったように装い、このうち7億円を引き出し、裏金にしていたことが関係者の話でわかりました。今回の事件で、特捜部は、11日も関係先を捜索し、脱税の裏付けを進めています。
⇒株式会社は、脱税のためにも利用されます。
http://www.jabira.net/start-ups/toku/014.htm
休眠会社とは?
現在、営業活動をまったく行わず会社が休止状態にあるものをいう。100万社はあると言われている。
休眠会社を買い取る
こうした休眠会社を格安でM&Aで買収するというテクニックだ。有限会社なら10万~20万円、株式会社でも30万円程度で買うことができる。
⇒こういう商売は、最低資本金がいくらになっても、止まらないでしょう。
会社法に関し、最低資本金制度と株式会社制度の濫用を結びつけて議論しても、抜け道はいくらでもあるようです。
制度の当否を、主観的又は感情的に議論しても、ほとんど意味はありません=どうしてプロフェッショナルって、実証的な議論をしないのかな?
一般人より、はるかにこの種の事例を多く知っているはずなのに??????
投稿: 株式会社のブランド価値(非専門家のみクリックしてください) | 2007年12月21日 (金) 08時07分
ご回答ありがとうございました!
そして、ブログランキング、弁護士ランキングの入賞おめでとうございます!!
今後とも先生のブログを楽しく拝見させていただきます。
投稿: rm | 2007年12月25日 (火) 18時46分
いつも楽しく拝見しております。
早速ですが、質問よろしくお願い致します。
2月決算の公開会社ですが、2月中旬に臨時株主総会を開き、3月末へ決算期を変更予定です。事業年度は、3/1~2/29、3/1~3/31、4/1~3/31というようにする予定にしておりますが(3/1から次年度の3/31までという風には諸事情からできません)、2月末の決算の定時株主総会を5月に開催し(定款で決算期後3ヵ月以内に開催する旨規定しています)、3/1~3/31の決算の定時株主総会も同時に行うことは可能でしょうか?それとも、別々に開催する必要があるでしょうか?私が調べたところ、会社法上、同時に開催することは禁止されていないのではないかと考えております。
よろしくお願い致します。
投稿: キース | 2008年2月 7日 (木) 11時47分