半導体・家電メーカーとして世界最大級の韓国サムスン電子は、福岡市・天神に最先端半導体の研究開発拠点を2月初めに開設する。26日、複数の関係者が明らかにした。開発陣は10人程度でスタートし、段階的に50人規模に増やす方針。九州に半導体・電気機械企業が集積している点に注目し、優秀な技術系の人材獲得や納入先開拓が目的とみられる。
関係者によると、福岡市の拠点は、サムスン電子全額出資子会社で、日本での研究開発の本拠地である「サムスン横浜研究所」(本社・横浜市)の九州分所と位置付ける予定。
日本での研究開発拠点は、本社、大阪府箕面市、札幌市に次いで4カ所目。韓国に近い九州の中心都市・福岡市の中でも、交通の利便性や情報収集、営業面などの条件から天神を選んだとみられる。天神3丁目のオフィスビルの2フロアを借りる。
研究開発の内容は明らかにしていないが、後工程と呼ばれる、微細な最先端半導体を組み立てる技術開発が中心になるとみられる。
九州には東芝など半導体大手や、組み立てを担当する地場企業が多い。金融危機後の不況で、九州でも事業縮小や撤退が相次いでいることから、技術力に定評のある日本の開発陣をスカウトする好機と判断したもようだ。
このため、開発陣の大半は日本人を採用する方針。福岡市は、誘致企業として同社への家賃助成などを検討する。
サムスン電子は1990年代、半導体分野で積極的な設備投資や研究開発投資を行い、日本勢を抜いた。日本では92年から、半導体のほか画像処理、光学技術などの研究開発を進めている。
サムスン横浜研究所担当者は、福岡市の拠点開設について「開設準備をしているのは事実だが、詳細は一切コメントできない」としている。
=2010/01/27付 西日本新聞朝刊=